九州地区の花粉飛散調査と情報提供 (重力法による)
 九州の花粉情報 (byアレルギー協会・九州支部)

九州地方は、木本のスギ、ヒノキ科、マツ型花粉が、草本花粉ではイネ科花粉が最も多い。
その他ヨモギ属、イラクサ科花粉が抗原花粉として注意されている。

鑑 別 さ れ た 空 中 花 粉

 

木 本 花 粉
草 本 花 粉
1〜6月

スギ、ヒノキ科(ネズ科を含む)、
カバノキ科、ブナ科、マツ型(マツ科、マキ科)
ニレ科、イチョウ科、ヤナギ属、クルミ科、ヤマ
モモ科、バラ科、ツツジ科、モチノキ科、マメ科
など

イネ科、タデ科、アカザ科、
ガマ科、イラクサ科、
オオバコ科 など

沖縄:

マツ科、モクマオウ科、ヤマモモ科、
ブナ科、クワ科、ソテツ科、マメ科、ツツジ科
など

沖縄:

イネ科、アカザ科、ガマ科、
オオバコ科、キク科 など

7〜12月

ニレ科、マツ科、スギ など

イネ科、クワ科、キク科、イラクサ
科、アカザ科、ヒユ科など
イネ科、イラクサ科、キク科、
イラクサ科、アカザ科、ヒユ科 など

沖縄:

カバノキ科、マメ科、モクマオウ科、
クワ科 など

沖縄:

イネ科、イラクサ科、キク科 など

(沖縄の空中花粉は金城勇徳による)

 九州地方の花粉症はスギ花粉症が代表であり、西日本地域と同様の傾向である。
 春のスギ花粉症、春〜初夏にかけてのイネ科花粉症、秋のヨモギ花粉症のほか、九州に多いイラクサ科のカラムシ花粉症が悪化する可能性がある。
 わが国の代表的な抗原花粉と花粉症について下記の表に花粉像、植物、簡単な説明をする。
 下の表の各画像をクリックすると、過去平均(’87〜’98の平均値)の旬別花粉飛散状況を、九州各地区別にグラフ表示します。
 (最新の2000年〜2002年の旬別花粉飛散状況は、本ページ最下段にリンクがあります。)

分 類
解 説
画像(リンク)

ス ギ、
ヒノキ科
花粉症

特徴:

 わが国固有の花粉症で最も罹患頻度が高い。
 ヒノキ科はスギと共通抗原性を有し、同様の症状を呈する。

抗原:

 日本スギ、ヒノキ科植物の花粉(約30μ)。分子量は約4万。Cry j.1花粉の外層、ユービッシュ体に含まれる。Cry j. 2花粉の細胞質に含まれる。

時期:

 2月〜4月

症状:

 眼・鼻アレルギー症状、咽・喉頭、下気道症状の他胃腸、中枢神経症状など多彩。

地域:

 北海道、沖縄を除く日本全国

備考:

 罹患率が高く国民病と言われるようになった(奥田 稔)。大気汚染と罹患率との関係、発症年齢の低下傾向。ヒノキ科花粉症との関係、新たに注目されている。


スギ花粉

 


ヒノキ科花粉

 

イネ科
花粉症

特徴:

 ヨーロッパにおける代表的な花粉症(眼・呼吸器症状)。

抗原:

 カモガヤ、ハルガヤ、スズメノテッポウなどイネ科植物の花粉を総称(主に春咲きのイネ科)。30〜50μ。分子量1〜3万(5種類)。

時期:

 4月〜6月

症状:

 眼・鼻アレルギー症状、咽頭症状強い。小児では喘息症状を伴うことあり。

地域:

 日本全土に見られる。スギ花粉症についで多い。北日本に頻度が高い。局所的に発症する可能性(宅地開発途中など)。

備考:

 外国に比べて花粉飛散量が少ないため、喘息症状の頻度は少ないと思われる。

写真提供 :

東邦大学薬学部 
佐橋 紀男先生

ヨモギ属
花粉症

特徴:

 ユーラシア大陸とくにアジアに普遍的な多年草のキク科植物。山麓、丘陵地に自生。ブタクサと共通抗原性。秋に悪化。
 喘息症状を伴うことあり、北日本に多い。

抗原:

 エゾヨモギ、ヨモギ、ニシキヨモギの花粉(約20ミクロン)。

時期:

 8月〜10月。九州では10月頃。

症状:

 眼・鼻アレルギー症状、咽頭症状が強く、喘息を伴うことがある(我妻、藤崎)。
 九州では他の抗原との重複感作例が多く、症状は軽度(宗)。

地域:

 日本全土に認められる。空中花粉量としては少なく、飛散期間も短い。新潟では春のスギ花粉症より患者が多い。

備考:

 風媒花、虫媒花ともにキク科植物と共通抗原性。

カラムシ
花粉症
花粉喘息

特徴:

 カラムシ(イラクサ科)は原野に自生するが、畑にも栽培される。夏から秋にかけて開花し、抗原性が強い。

抗原:

 カラムシ花粉(13〜14μ)。秋の空中花粉としてごくわずかに各地で捕集される。

症状:

 眼・鼻アレルギー症状、喘息症状。花粉喘息として1977年、浅井が初めて報告。長崎地方。

地域:

 九州の長崎県に比較的多く、特に丘陵地に多い。

備考:

 ヨーロッパの重要なイラクサ科ヒカゲミズ属(Parietaria)とは共通抗原性は認められなかった。今後アジアの花粉症として注意すべき(三浦)。

写真提供 :

佐世保市立総合病院
浅井 貞宏 先生


 2000年〜2002年、及び2003〜2005年の旬毎花粉捕集状況

下記の各地域(調査施設)名をクリックすると、その地域(調査施設)の2000年〜2002年の旬別花粉飛散状況のグラフが表示されます。

福岡市(国立病院機構福岡病院)
長崎市(長崎大学)
熊本市(熊本大学)
宮崎郡(宮崎医科大学)
都城市(藤元早鈴病院)
大口市(県立北薩病院)