大気アレルゲン感作の低年齢化調査
 吸入性抗原感作とアレルギー発症の低年令化調査 (2000年〜2001年調査結果)

担当者:

柴田瑠美子(国立療養所南福岡病院小児科)
吉原 明子(NTT病院熊本:アレルギー科)

 近年、ダニ、ペット由来抗原、花粉などの吸入性アレルゲンによる喘息や鼻アレルギーなどの発症が0〜2歳でもみらる、いわゆる低年令化の現象が報告されるようになった。九州における実情を探る為、平成12年から13年にかけて福岡東保健所では1歳半と3歳児健診、熊本東部保健センターにおいては1歳半健診の機会にアンケート調査を行った。
 血清抗体は、国立療養所南福岡病院小児科診療を通じて調査した。 アンケートに協力していただいた受診者は、福岡329名、熊本324名(男、合計653名であった。 又、南福岡病院を受診したアトピー性皮膚炎を主訴とする5才までの患児100名につき、花粉抗原に対するIgE抗体測定を行って、それらの感作状態を推測した。

 アンケートはアレルギー疾患の有無、家族歴、アレルギー疾患内訳と発症年令、アレルゲン検査結果及び治療を受けた経験とその内容などについての質問とした。

 結果を図1,2と表1に要約する。

1.

 1歳半の健診でアレルギー疾患のある児の数は福岡・熊本共に約20%、3歳児健診では福岡で26%であった。

 

2.

 アレルギー疾患の種類はアトピー性皮膚炎(熊本),アレルギー性皮膚炎+蕁麻疹(福岡)が共に40%弱、喘息(熊本)が約17%、喘息様気管支炎+喘息(福岡)が約30%であり、食物アレルギーと答えた福岡の症例の症状との関連が明確ではない。 
 一方、鼻アレルギー、花粉症、眼の症状は、熊本で30%弱、福岡で3%と極めて差のある結果になった。理由は不明である。

 

3.

 既に抗原の検査を受けている児で、陽性抗原をアンケートに回答してもらえた結果は表1である。
 2の結果と対比すると、症状としては確認できなくても、1歳半の検診時にすでに室内塵およびダニに感作されている例が極めて多いと言える。花粉による感作例は少ない。

 

4.

 表2のIgE抗体陽性に関するデータは、病院を訪れた小児が対象であり、健診受診例と構成が異なる。
 更に、アトピー性皮膚炎患児をいう特定の対象であるので結論はできないが、5歳までの平均ではスギ花粉に対するIgE抗体陽性が約37%であるること(成人を含めて約40%の陽性)やブタクサ、オオアワガエリの陽性率から、低年令小児で花粉抗原感作は成立していることが示唆される。

 

図1

図2

表1.抗原検査を受けていた児の各抗原陽性頻度(%)

 

福 岡
熊 本
1歳半(29名)
3歳(74名)
1歳半(68名)

室内塵

6.9

17.6

23.5

 

ダニ

24.1

16.2

10.0

花粉

2.9

ネコ

1.4

イヌ

3.4

1.4

カビ

2.7

食物

 

 

 

 

55.2

31.0

32.3

 

ミルク

3.4

13.5

7.4

 

大豆

3.3

5.4

5.9

 

小麦

4.0

8.8

 

 

魚介類

3.4

1.4

 

肉類

1.4

 

その他

6.9

4.0

4.4

表2.アトピー性皮膚炎児における花粉特異IgE抗体陽性率

花粉に対するIgE抗体陽性者

年齢
例数
ブタクサ
スギ
オオアワガエリ
1歳

11

2歳

14

2(14%)

1( 7%)

2(14%)

3歳

27

7(26%)

6(22%)

6(22%)

4歳

28

12(43%)

17(60%)

13(46%)

5歳

20

9(45%)

13(65%)

12(60%)

合計

100

30(30%)

37(37%)

33(33%)