K・Kニュース vol.11(2007年1月号)


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私の趣味

七十の手習い -能面を打つ-


熊本大学名誉教授 石川 哮

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 私が熊本大学を定年退職したのは1998年、日本アレルギー学会理事長を70才定年制に従って終わったのは2003年、それからが本当の定年となったことになる。家内も熊本で眼科医を26年務めた。まだ医師として働ける家内を家の中に引っ張り込んだのは私の我侭であった。二人とも筋力の衰えは確かであるが、まだ時々ゴルフを楽しんだり、長旅の外国旅行だって可能な体力がある。又、約7年前に建てた阿蘇の小屋にも片道約50km、1時間のドライブで苦もなく通い、雑草との闘いや芝刈りにも何とか応ずる体力はまだある。

 記憶力の衰えも確実に進んでいる。自由時間が増えたことだし、少しは頭を柔軟に働かせ、指先を使う遊びは呆け(ぼけ)の予防になるだろうと思い、熊本NHK講座「陶芸」と「能面打ち」に入門した。七十の手習いである。
陶芸は手練りで気に入った抹茶茶碗1つも出来ればよし、能面なら60種類もある能面の内1つ女面の小面が打ち上がればよしと考えた。

 能面打ちには、数多い鑿やその他の刃物、小道具を揃えるのに時間もお金もかかった。月2回、それぞれ3時間の手ほどきと作業、それに時々休むこともあって、実質50時間ほどだが、一面を打ち上げるのに延べ1年以上かかってしまった。
能面の顔貌は室町時代の型を継承した写しであり、目の大きさ、瞼、口のしまり、鼻の振りに作者の微妙な特徴が表現されてはいるものの、自己流を許さない。耳鼻科医であった私にとっておもしろいのは鼻の振りであり、鼻梁が向かって左曲がり(月)と右曲がり(雪)、真直ぐに通す(花)という表現があって、人鼻中隔の曲がりを連想させる。全体としても左右対称のものはない。
表現は型紙を使って荒削りから仕上げまで決められた手順に従って進め、胡粉と膠が下地となる化粧で仕上げてゆく。

 講義より実際に手で憶えてゆく技の習得である。勿論第一作は師の手があらゆる所に入り、自作とは云えないのだが、打ち上がりをみればやはり一つの達成感を味合うことができた。愚作であっても観る方向によって表情が微妙に変わるのも判る。
能面は生霊・幽霊のイメージであり、この世の者ではないのだが、次の作も女面に挑戦し、続けることができるならば女面だけをいくつか仕上げ、不謹慎なことに大奥よろしく女面に囲まれたいと思っている。

 


書 籍 紹 介

鼻アレルギー基礎と臨床
改訂版

奥田 稔
医薬ジャーナル社
2005年6月発行

スギ花粉前線
1986年〜2005年

佐橋 紀男
NPO花粉情報協会
2006年3月発行

ラテックスアレルギー
安全対策ガイドライン2006

赤澤 晃・松永佳世子・矢上 健
日本ラテックスアレルギー協会
2006年7月発行


(財)日本アレルギー協会の入会案内

 (財)日本アレルギー協会は厚生省所管の財団法人として昭和42年に発足。目的は国民の30%を越える人達が何らかのアレルギー症状を持つという国民病とも云われる状況に対し、総合的に調査、研究、啓発、広報などによって国民の保健と福祉に寄与することです。学術団体日本アレルギー学会と協力し、医療関係者、患者、行政、社会の多くの人達と手を組んでアレルギー克服に向けて努力しております。数年前より個人会員も募るようになりました。当協会の趣旨に賛同され、入会いただけますようお願い致します。

 

正会員
一般会員
対  象

医師、看護師その他の専門職、医療従事者

患者および家族などの一般の方々

会  費
(4月〜1年間)
一口2,500円
(一口以上)
一口1,500円
(一口以上)
特  典

機関誌
「info Allergy」送付

機関誌
「アレルギートゥデイ」送付


■申し込みと会費納入■: 振込用紙に必要事項を記載し、会費を納入下さい。
 

■ お問合せ先 (振込用紙請求先) ■
〒102-0074 東京都千代田区九段南4-5-11 富士ビル4階
財団法人 日本アレルギー協会
TEL 03-3222-3437  FAX 03-3222-3438


各 県 の 取 り 組 み

《一般向け講習会》
大分県: 喘息との上手な付き合い方 (2006年7月30日)
佐賀県: わかりやすい喘息のお話  (2006年10月21日)

《医師向け研究会》
熊本県:
第3回熊本耳鼻咽喉科アレルギー研究会 (2006年12月7日) 会場:ホテル日航熊本 

《医師向け講習会》(九州各県アレルギー講習会)
佐賀県: 2007年2月8日(木)19時     会場:マリトピア
鹿児島県: 2007年2月15日(木)19時  会場:城山観光ホテル
福岡県: 2007年2月24日(土)14時30分 会場:天神ビル11階
長崎県: 2007年3月8日(木)18時30分  会場:佐世保シティビル
熊本県: 2007年2月28日(水)19時    会場:ホテルニューオータニ熊本
沖縄県: 2007年2月23日(金)19時    会場:ラグナガーデンホテル


支 部 だ よ り

 今回からこのKKニュースは紙面がA3からA4に縮小され、カラー印刷になりました。編集長はじめ編集部の希望で約10回継続したニュース刊行のマンネリ化を起こさず、もっと多くの研究や催しおよび何か新しいことをリアルタイムにお知らせしようと紙面は多くなっています。皆様へその活気が伝わることを願っています。
表にアレルギー協会が主催・共催した研究会を紹介しています。講師の先生方には、この場を借りて厚くお礼申し上げます。またこれから開催される講習会には近くの先生方やコメディカル・一般の方に多く御参加いただけると考え、情報を提供しています。

 11月19〜22日、京都国際会館で第11回アジア太平洋国際呼吸器学会(福地義之介教授)が開催されました。ATS・ERS学会のハイライトが盛りこまれ、呼吸器疾患の世界の動向が把握できるようになっていました。GOLD、WANCAではCOPDに焦点が当てられ、アレルギー学会でも喘息とCOPDのとくに末梢気道についての詳細な検討が行われているのは周知のことです。本学会で喘息とともに呼吸機能を測定することの必要性が叫ばれ、早期診断の重要性とプライマリケアの段階でスクリーニングできるよう、久留米大学相澤教授らや熊本大学興梠教授らが国内・国外で啓発活動を熱心に行っています。今まで喫煙量をBI(ブリンクマンインデックス)で表していましたが、今後はpack・yearで表示するように代わっていくと思われます。
さらにGARD(Global Alliance Against Chronic Respiratory Disease)というWorld Health Organizationが発足して喘息、アレルギー性鼻炎・呼吸器アレルギー、COPD、職業性肺疾患、肺高血圧を含む慢性呼吸器疾患は予防できるという観点から世界的な疾病予防のプランが立てられています。冬季のavian flu(H5N1),SARSなどの予防についても力が入れられていました。いずれ多くの報告を眼にされると思われます。

 今回の発刊につき、協賛いただいた製薬会社に重ねて感謝し、読者の先生に今後もご愛顧いただきますようお願い申し上げます。

(文責:岸川禮子)

 

 

 

Kyushu Kyohkai News
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「K・K News」Vol.11
2007年1月1日発行

発行:(財)日本アレルギー協会九州支部
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TEL092-565-5534(内272)
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編集委員/石川 哮・庄司俊輔・
小田嶋 博・岸川禮子
メールアドレス
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