K・Kニュース vol.2(2002年6月号)


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200字コメント

(今回は、多数の方からコメントを頂きました!)

○犬とアレルギーと私

 最近、小犬を飼いました。コーギーをいう犬種で短足・胴長ですが柴犬のような顔です。ペットッショップで購入したその夜から、下痢が続き、食欲なく、眼脂やくしゃみが続きました。獣医さんでは胃腸炎、耳の中の真菌症、結膜炎、鼻炎という診断でいろいろ薬をもらいました。手がかかって大変です。犬も92種類のRAST検査が可能だということでした。心配ひとしおでアレルギーの子供を育てる親の心境です。

(古江増隆)


○日常診療の中で

 日常診療の中で、透析時のアナフィラキシーショック、食餌性運動誘発性アナフィラキシー、金属アレルギーに基づく種々の皮膚疾患、薬物による肺炎、掌蹠膿胞症における病巣感染など、様々なアレルギー反応に遭遇しておりますので、これを機会に一つでもテーマを決めて取り組みたいと思っております。

(藤原作平)


○大学生のアトピー性皮膚炎検診

 アトピー性皮膚炎は乳児期から学童期に多く見られるアレルギー性皮膚疾患である。近年思春期以降に発症、増悪する症例が増加しているがその実態は明かではない。1995年より長崎大学新入生を対象に健診を行っているが、この6年間での有病率は平均6.2%程度で推移しており、10歳以降に発症する例が20%前後認められた。増悪因子として発汗(54%)やストレス(18%)が増えており、思春期の患者指導で重要と考えられる。

(片山一朗)


○食物アレルギー

 子供の食物アレルギーについて親達は強い感心を持っています。病院や学校での給食で、保護者から卵、牛乳、チーズなどの制限要求が増えてきました。正当な食餌制限は歓迎すべきことですが、保護者の思いこみや病院での検査もなく、重要な蛋白源を制限することは、子どもの健康を阻害するおそれがないかと小児科医として心配しています。

(宮崎澄雄)


○アレルギーからの警鐘

 最近、鼻過敏症患者で年代的に特徴的なことは、花粉症の低年齢化と好酸球増多性鼻炎の高齢者での増加がある。ともに、1990年以降に激増傾向が見られる。小児の花粉症では、イネ科が6.8倍、スギが4.5倍、高齢者の好酸球増多性鼻炎は、全鼻過敏症の6〜11%に達している。抗原など環境をめぐる問題に加えて、生体側の要因がより大きく係わっている。21世紀、人間社会に対するアレルギーからの警鐘として深く受け止めねばならない。

(大山 勝)

 

○ダニの匹数

 上等な見なりや化粧の御婦人方に限って、ダニが原因のアレルギーだと詳しく説明しても納得してもらえないことが多い。この場合熱追い出し法によって顕微鏡下で、1m2当たりのダニの固体数をカウントするとよい。あなたは布団に何匹、タタミに何匹(数千匹の時もある)のダニを養っておられますと言えば、効果は絶大で御婦人方は掃除上手にすぐ変身なさるものである。

(岡崎 禮治)


○アレルギーに関したコメント

 今年も多くのスギ花粉症患者を拝見した。時に感冒なのか花粉症なのか分からない患者はいるが、ほとんどは自分が花粉症なのだと知っているし、医師も多くの場合病歴を聞けば頭の中では診断がつく。私の姉は花粉症と思っているし、私も姉の症状からそう考え、特段他の疾患が鼻内に隠されているのではないかなどと言って受診を勧めてはいない。米国ならスギ林を持っているだけで訴えられそうだが、日本でも鼻内他疾患の存在や実際はアレルギーではなかった場合には訴訟の可能性があるだろう。花粉症症状の多くに鼻内内視鏡検査や血液検査等行われる理由であろうが、保健医制度の破綻とも結びつく。国民は何を望むのであろうか。

(鈴木正志)


○肉芽腫とは

 肉芽腫性疾患は一般には細胞性免疫特に遅延型過敏性反応の結果形成されてくると考えられている。そしてその病態に関与するTリンパ球より、結核を始めとする感染性肉芽腫はTh-1型、寄生虫卵などに由来する肉芽腫はTh-2型と考えられている。そして、原因不明のサルコイドーシスはTh-1型に入る。肉芽腫の主体をなす類上皮細胞はマクロファージ由来の細胞と従来考えられてきたが、近年になって、肉芽腫形成の初期に多数の樹状細胞が存在することにより樹状細胞の関与がクローズアップされている。

(津田富康)


○メディアでの過剰な報道

 メディアでの過剰な報道や、いわゆるアトピービジネスといわれる商法の、不安をあおる宣伝のせいで、若い母親達の乳児のアトピーに対する不安は大変なものです。アトピーという診断を受けたことで精神的に落ち込んでしまう母親も少なくありません。しかし、アトピーの診断を受けたために、食品、栄養、健康などを真剣に考えるきっかけとなり、長い目でみるとQOLの高い人生をおくることができるかもしれません。母親にはこのような話をしますが、私自身も発想をポジティブモードに切り替えて毎日をすごしたいと考えています。

(濱崎雄平)

 

○アレルギーの診療

 アレルギーの診療は、 新しい治療薬の出現やガイドラインの普及などにより、 進歩してきた。 そのために大部分の患者は症状の軽快やコントロールがなされてきている。 しかし、 アトピー性皮膚炎や気管支喘息などでは、 難治性、 遷延性の病態もみられている。このような患者の治療にあたっては心身両面からのアプローチが必要な場合がしばしばみられる。 不安や抑うつなどの精神状態や食時、 睡眠、 運動、 休養などの生活習慣への配慮が重要である。

(久保千春)


○自分で感じたアレルギーのつらさ

 昨年暮辺りから体のあちこちにアトピー性皮膚炎様の皮疹が出現し、特に夜間などかゆみに悩まされています。一応、最近の抗アレルギー薬やステロイド軟膏を使用してみたが今一つかゆみが止らず、漢方の黄連解毒湯の追加で少しは軽くなりつつありますが、いつもはアレルギー疾患の専門家としてその理論や治療について、一応納得したような顔をして人に解説してきましたが、やはり自分でなってみて、初めてそのつらさがかり「アレルギー治療の道いまだ遠し」を肌身で感じているこの頃です。

(江頭洋祐)


○日本アレルギー協会活動を評価する

 アレルギー疾患は毎年、増加傾向を示し、その病態も極めて複雑多岐である。取り扱う分野も多くの専門分科に跨り、必ずしも一様では無い。日本アレルギー協会主催の年毎のアレルギー週間行事も県支部で今や定着し、専門家集団はもとより、一般臨床家市民団体をも巻き込んで一同に会した講演会やフォーラムが活発である。この分野の臨床医学の向上と予防活動の啓蒙に資するところ、大であり、今後とも、その活動の輪を更に拡大したいと念じている。

(宮城征四郎)


○アレルギー科の役割

 国立療養所南福岡病院にアレルギー科が開設してから5年が経過した。アレルギー科は“アレルギー疾患を総合的に診る科”として創設された。1年後に皮膚科が始まり、現在はアトピー患者などで満杯である。耳鼻科には、宗、家守両先生が加わった。気管支喘息は呼吸器もしっかり診てくれている。となればアレルギー科は誰が診るのか?……ある新患者曰く「具合が悪いのにどこの医者に行ってもわからない。きっと“アレルギー”だと思ってやってきました」。テレビの風邪薬のCM:「“アレルギー体質”の方は医師、薬剤師にご相談下さい」。やはりアレルギー科は必要なのです。

(庄司俊輔)


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