K・Kニュース vol.6(2004年7月号)


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私の趣味

 〜 筆 彫 り 〜


熊本大学名誉教授 石川  哮
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一本の軸に般若心教
全文(262文字)を彫っ
てみた。写真は右から
順を追って軸をまわし
ながら撮ったものを合
成した写真技術の賜で
実は一本の軸である。
 広島の熊野は筆造りの本場である。その工程はいくつもの段階に分かれていて、芯になる穂の先には特に神経を使う。材質と技術が筆の良し悪しを決めるし、高値につくかどうかもこれにかかっていると聞いた。仕上がりの最終段階は筆軸に何文字かの字を彫り、その下に店の号を入れて終る。その字は三角刀一本で一つ一つ彫るのだが、今は彫る技術者が減ってしまい、器械彫や印刷した紙を貼って済ましているものが多くなった。
私は学生時代に広島彫りを習い、何軒かの筆屋のお抱えにしてもらい幾許かの収入を得ていた。一寸変わってはいるが、私のアルバイトであった。私の下宿先のご主人が広島出で、若い頃やはりこの彫りで生活費や学費を稼いでいた苦学生であった。私はその話を聞いて感激し、あまり乗り気でなかったご主人に無理やりこの彫りの技術を伝授してもらったのである。
相手は竹であり、まともに字の形を彫れるまでに1ヶ月以上かかったが、一字20銭の彫り賃を筆屋からもらった時は心躍る心持であった。
般若心教を中心に、その他の彫りも
数本混ぜて医師会美術展に
展示させてもらった。
 医師になってからも時々筆屋の注文が来たが、今は気に入った文字を彫って家に飾っている。職人ではあっても芸術には程遠いものである。この筆彫りについては、「耳候頭頚(1988)」、「感染・炎症・免疫(1999)」、私の著書「ポレポレ」などいくつかの場で紹介させてもらった。ここに載せた写真も「感染・炎症・免疫」に掲載したもので、プロが撮ってくれた本物裸足の上手な写真である。
熊本県医師会芸術祭に初めて出させてもらったのは「般若心経」の写経だったが、2回目は「正法眼蔵」の中から極一部の文や、福井の永平寺にあった額字を選んで彫り、出展した。正法眼蔵は曹洞宗道元禅師の膨大・深遠な経典であり、大学生の頃から読みたいと思いつつ実現しなかった。今はいくつかの解説書が出ていて読む分には時間さえあれば可能になった。内容を十分理解し、自分のものにしているわけではないが、心打つものを筆軸に彫ってみた。しかし、私の撮った写真はとても他人に見せられるものではなく、ここには掲載できないことになってしまった。

 この技術を筆だけでなく竹や木を相手に彫り写し、歳をとった私の心の糧にしたいと思っている。

 


書 籍 紹 介

小児気管支喘息、治療・管理
ガイドライン2002

2004年改訂版

古庄巻史/西間三馨  監修
日本小児アレルギー学会 作成
株式会社 協和企画
2004年発行

 

食物アレルギーの手びき
正しい知識と治療,食生活指導
改訂第2版

馬場 實/中川武正 編集
株式会社 南江堂
2003年発行

小児気管支喘息のマネジメント
−吸入ステロイド剤の使い方−

西間三馨 編集
株式会社 医薬ジャーナル社
2004年発行

MIDDLETON'S ALLERGY
Principles&Practice(第6版)

Editor : Adkinson K,
Yunginger Ju,
Busse WW, Bahner BS,
Holgate ST, Simons FER.
Mosby
2003年発行


(財)日本アレルギー協会の入会案内

 (財)日本アレルギー協会は厚生省所管の財団法人として昭和42年に発足。目的は国民の30%を越える人達が何らかのアレルギー症状を持つという国民病とも云われる状況に対し、総合的に調査、研究、啓発、広報などによって国民の保健と福祉に寄与することです。学術団体日本アレルギー学会と協力し、医療関係者、患者、行政、社会の多くの人達と手を組んでアレルギー克服に向けて努力しております。一昨年より個人会員も募るようになりました。当協会の趣旨に賛同され、入会いただけますようお願い致します。

 

正会員
一般会員
対  象

医師、看護師その他の専門職、医療従事者

患者および家族などの一般の方々

会  費
(4月〜1年間)
一口2,500円
(一口以上)
一口1,500円
(一口以上)
特  典

機関誌
「info Allergy」送付

機関誌
「アレルギートゥデイ」送付


■申し込みと会費納入■: 振込用紙に必要事項を記載し、会費を納入下さい。
 

■ お問合せ先 (振込用紙請求先) ■
〒102-0074 東京都千代田区九段南4-5-11 富士ビル4階
財団法人 日本アレルギー協会
TEL 03-3222-3437  FAX 03-3222-3438


支 部 だ よ り

 KKニュース第6号をお届けします。
 ご存知のように、この4月より国立病院・療養所は独立行政法人国立病院機構に移行しました。国立療養所南福岡病院は、さらなる発展を期して病院の名前から「南」の文字を削除し、「国立病院機構 福岡病院」となりました。何れは病院の中に免疫・アレルギーセンターのような施設を設立したいとの声もありますが、まずはアレルギー協会九州支部と二人三脚でアレルギーの啓発・発展に努力したいと思います。

 平成16年度も九州支部の行事はたくさんあり、恒例のサマーキャンプ、アレルギー週間での一般向け及び医師向け講演会、免疫・アレルギー専門医を作る研修会などを行うと共に、今年からはこれまで病院のみで行っていたプールでのアレルギー・リウマチ水訓練指導も協会活動の一環で行うことになりました。

 このKKニュースも新生福岡病院と共に新たな気持ちで努力していく所存です。皆さんの暖かい応援をお願いします。

(庄司俊輔 記)

 

 

 

Kyushu Kyohkai News
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郵送でもEメールでも構いません。

「K・K News」Vol.6
2004年7月1日発行

発行:(財)日本アレルギー協会九州支部
〒811-1394 福岡市南区屋形原4-39-1
独立行政法人 国立病院機構 福岡病院
研修・情報センター内
TEL092-565-5534(内272)
FAX092-566-0194
発 行 人/西間三馨
編集委員/石川 哮・庄司俊輔・
小田嶋 博・岸川禮子
メールアドレス
mail@allergy-fk.com


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