K・Kニュース vol.1(2001年12月号)


〜Page5〜

喘息児サマーキャンプ

国立療養所南福岡病院小児科 小田嶋 博
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 私どもで毎年行なっている喘息児のサマーキャンプは31回目を迎える。今年は福岡県宗像の福岡県立玄海少年自然の家、海に面した施設で行った。参加児童は1年生から6年生の72名とスタッフ、ボランティアを合わせるとなんと133名の大所帯であった。

 参加者は低学年児が多く、集団行動に不慣れな者、また親から離れたことがない者も多く、心配顔でバスの中の我が子に手を振る親を尻目に早くもバスの中ではしゃぐ子がいて、「お母さんたちに手を振ってあげなさい」と言われ「何のこと」みたいな顔をしながら例年通りの出発をした。

 今年は海でのキャンプということもあって、また、大変な暑さの中、色々と心配をしたが、よろよろのスタッフと、(特に地球温暖化を見据えて?)冷房は要らないと確信させる元気な子供と、頑張って頂いたボランティアの皆さんのおかげで何とか無事に終わることができた。

 ストーンアートと称する大きな砂場遊びは,結構立派な作品が完成し、子供の創造力には感心させられました。尤も、空飛ぶ円盤を思わせた大きなクラゲを捕まえ、その牢屋作りに忙しかった冒険心豊かな子供もいてそれなりに面白い企画だった。

 また、肝試しは全く明かりが無く、怖過ぎて、大変心配でした。しかし、木からぶら下がってお化けに変身しようとして頑張ってうまく行かなかったスタッフがいたり、お化け提灯は、17歳の喘息患者さんの提灯絵付師見習の方の力作でしたが、これは怖いと言うよりは美しかったりして楽しい夜で会った。

 他にも、楽しい行事や厳しいトレーニング、喘息の勉強会など。何と言っても、今年の暑さにもかかわらず参加した子供たちには、結構好評だったようで、ご紹介頂いた、開業の先生たちからも、「子供が喜んでたよー、来年も行くって、紹介して感謝されたよ」というお言葉をいくつも頂いた。心理的効果についても検討を重ねており、薬によらない治療の一つと考えている。

 今年は、キャンプ終了数日後のニュースで玄界灘で悠々と泳ぐサメが出てキャンプ中だったらと青ザメた人も多かった?

 キャンプにご協力いただいた沢山の皆様に改めてこの場をお借りして感謝申し上げます。来年もどうぞ宜しくご支援の程お願い申し上げます。

 



夏期喘息学級(タラソテラピー)

 〜上天草総合病院ぜんそくセンター〜

上天草総合病院 名誉院長 岡崎 禮治
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 近年増加している小児の喘息やアトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患は、いろいろな原因でおこりますが、根本的な治療には精神的にも「強くたくましい子」になることが必要です。

 喘息学級は、ぜんそくを主とするアレルギー疾患やそれに伴う不登校などの子供に対して、必要な各種の検査はもとより、日課に添った規則正しい集団生活の中で天草の海を存分に活用した行事を体験し、心と体に自信をつける催しです。

 海の空気中には、アレルゲンが含まれていないので気管支喘息の発作は起こらなくなります。又、海水浴は湿度の高い環境で横になって行うスポーツなのでELA(運動誘発喘息)を起こすことなく大きな運動量が得られ、これらの好条件を組み合わせてする治療法をタラソテラピー(海洋療法)といいます。

 上天草総合病院のぜんそくセンターでは昭和40年から年2回、約50名の小中学生が全国から参加して毎年夏になると喘息学級(サマーキャンプ)を行ってきました。

 



サマーキャンプの報告

熊本アレルギーの子を持つ親の会 副代表 今村 陽子
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 今回で9回目のキャンプは、阿蘇郡高森町で行われ、晴天に恵まれた。参加者は33名。ペンションを貸切り、鍋釜等全て自分たちで調理するのが恒例。昼は除去食カレー、夜はバーベキュー。打ち解けて遊ぶ子供たちを横目に大人は準備に大わらわ。でも、子供たちの美味しいと喜ぶ顔に疲れも飛んだ。

 思わぬハプニングもあった。1歳児が転んで鎖骨を骨折。同行の看護婦さんにより異変が判り、救急車で20q離れた救急病院に搬送された。処置終了まで長く感じた。幼児が多く参加する行事は、何が起こるか分らない。我が子の身体がパンパンに腫れ苦しんでいる姿を想像し、色んな思いが入り乱れた。今はすっかり元気になったその子には申し訳ないが、よい教訓となった。

 翌日、短い間に仲良くなった友達へ名残惜みながら別れを告げた。皆と一緒に過ごしたことが子供たちの心の片隅に楽しい思い出として残ればと嬉しいと思う。今年も(財)日本アレルギー協会九州支部からの助成金で充実した内容となった。心よりお礼申し上げます。ありがとうございました。

 


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