K・Kニュース vol.10(2006年6月号)
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一般向け講演会 (独)国立病院機構福岡病院 副院長 庄 司 俊 輔
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平成17年度のアレルギー週間一般向け記念講演会は、福岡と鹿児島の2カ所で行われた。福岡では、平成18年2月19日の日曜日に、日本アレルギー協会九州支部主催により、今回も福岡市天神の天神ビルで開催された。
この講演会は今回で12回目を迎え、今年も約100人の参加者があった。例年2部構成となっているこの講演会であるが、今回は少し趣向を変え、現在次々と作成されているアレルギー疾患のガイドラインについて、それぞれ疾患別に解説することを大きなテーマとし、例年取り上げている花粉症については、トピックスの形にした。
テーマである「アレルギー疾患のガイドライン」は、日本アレルギー協会九州支部長の国立病院機構福岡病院(以下:福岡病院)院長の西間三馨先生の司会により、『気管支喘息』を福岡病院副院長の庄司俊輔(本稿記載者)が、『食物アレルギー』を福岡病院小児科部長の柴田瑠美子先生が、『アトピー性皮膚炎』を九州大学皮膚科助教授の占部和敬先生が、『花粉症』を島根大学耳鼻咽喉科教授川内秀之先生が、それぞれの疾患の最新ガイドラインについてくわしく解説し、その後に質疑応答を行った。
トピックスではアレルギー協会九州支部の前支部長である熊本大学名誉教授の石川 哮先生の司会で、福岡病院アレルギー科医長の岸川禮子先生により『今年のスギ・ヒノキ科花粉の飛散について』と題した講演が行われたあと、おふたりのトーク形式の質疑応答のあと会場からの質問が行われた。
アレルギー疾患のガイドラインはもともと医師向けに作成されたものであるが、各演者の先生方は、このエッセンスをわかりやすく解説され好評であった。テーマ講演、トピックスとも会場から非常に活発に質問があり今年も時間が足りなくなるほどであった。
来場者からのアンケートの統計結果を別図に示した。今回は回収数が少なかったが、広い年代層から来場されており、やはり患者さん自身の聴講が多いことが分かった。一方、鹿児島では、鹿児島大学病院耳鼻咽喉科と日本アレルギー協会九州支部の共催により、平成18年2月5日に、鹿児島市東千石町の楽天KCプラザにおいて、市民講座【花粉症・小児喘息】として開催された。
講座では、鹿児島大学耳鼻咽喉科教授の黒野祐一先生による『知って得する花粉症のはなし』と今村病院小児科部長の今村直人先生による『小児喘息治療の最前線』の二つの講演が行われたあと、「ここが知りたいアレルギー」のテーマで総合質疑が行われ、約45名の参加者を含んで活発な討議が行われた。今回で12回目であるアレルギー週間一般向け講演会であるが、最近は福岡市や北九州市など限られた一部の地域で行われることが多くなってきていた。
今回鹿児島大学の黒野先生のご尽力で福岡以外でも開催することができた。来年以降も福岡だけではなく、できるだけ多くの地域でこの一般向け講演会が開催できるよう工夫と努力を重ねていきたいと考えている。![]()
九州各県医師向け講習会
◆福岡県:
日時: 2006年2月18日(土) 14:30〜18:00
会場: 天神ビル(福岡市)11階
参加者: 95名
講演: 小児科、内科、皮膚科、耳鼻咽喉科の
先生による講演
◆佐賀県:
日時: 2006年2月9日(土) 14:30〜18:00
会場: マリトピア
参加者: 72名
講演: 耳鼻咽喉科、呼吸器内科の先生による講演
◆長崎県:
日時: 2006年3月9日(土) 18:30〜21:00
会場: ベストウエスタン
プレミアホテル長崎参加者: 76名
講演: 小児科、皮膚科、耳鼻咽喉科、内科の
先生による講演
◆熊本県:
日時: 2006年1月16日(月) 19:00〜21:45
会場: ニューオータニ熊本
参加者: 106名
講演: 小児科、耳鼻咽喉科、皮膚科の
先生による講演
◆大分県:
日時: 2006年2月18日(土) 17:00〜20:00
会場: 大分東洋ホテル
参加者: 67名
講演: 耳鼻咽喉科、呼吸器内科の先生による講演
◆鹿児島県:
日時: 2006年2月16日(土) 18:15〜20:30
会場: 城山観光ホテル
参加者: 71名
講演: 耳鼻咽喉科・アレルギー科・分子生物工学講座
免疫病態分野の先生による講演
第5回アレルギー・臨床免疫医を目指す人達の為の研修会 日本アレルギー協会九州支部長(NHO福岡病院長) 西 間 三 馨
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日本アレルギー協会九州支部主催で「第5回アレルギー・臨床免疫医を目指す人達の為の研修会」が平成18年3月18日(土)、19日(日)の両日に福岡市内の八重洲博多ビルで開催された。
今回も前年同様、全国各地から熱心な若手医師の参加が得られた。受講者29名の内訳は、内科6名、小児科9名、耳鼻科4名、皮膚科4名、その他の診療科6名であり、九州内が17名、本州からが12名であった。
プログラムは例年にならい、第1日目がアレルギー、第2日目がリウマチ・膠原病疾患を主軸とした、講義形式の研修会としている。アレルギー疾患は主テーマを「アレルギー疾患の治療ガイドライン」とし、石川 哮 前日本アレルギー学会理事長と久保千春 九州大学心療内科教授の司会で、概論:西間三馨 九州支部長、鼻アレルギー:黒野祐一 鹿児島大学耳鼻咽喉科教授、小児気管支喘息:濱崎雄平 佐賀大学小児科教授、成人気管支喘息:興梠博次 熊本大学呼吸器科教授、アトピー性皮膚炎:古江増隆 九州大学皮膚科教授、食物アレルギー:柴田瑠美子 NHO福岡病院小児科部長と、それぞれ各分野のガイドライン作成に関わった専門医からの講演があった。
すべて、最新のガイドラインのエキスであり、総合的な討論も行われ理解をより深めることができた。その後、コーヒーブレイクの間にエピペンR(エピネフリン自己注射)処方医の講習と認定が行われ、第1日目の第2部に移った。
第2部は日本アレルギー学会の冨岡玖夫理事長による「21世紀のアレルギー疾患対策」の講演があり、奥行きの深い長くアレルギーをやっている者にとってもすばらしい講演であった。第2日目のリウマチ・膠原病疾患の主テーマは「自己免疫疾患」である。企画立案の江口勝美 長崎大学病院長と長澤浩平 佐賀大学膠原病リウマチ内科教授の司会で、概論:吉開泰信 九州大学生防研・感染制御学分野教授、SLEの最近の動き:長澤教授、膠原病(とくにシェーグレン症候群)における新しい画像診断:高木幸則 長崎大学頭頚部放射線分野助手、膠原病における免疫抑制薬使用法の進歩:中村 正 熊本リウマチセンター部長、自己免疫疾患に対する造血幹細胞移植:塚本 浩 九州大学病態修復内科助手の講演が行われた。
途中でフォローできなくなった私のようなロートルを尻目に、参加者は最新情報に熱心に聴き入り、かつ鋭い質問が次々と出、私はただただ後の方で感心しながら座っていた。
また、恒例の夕食会・意見交換会の中で交わされる聴講者と講師の会話は、研修会の知識吸収と別次元での重要性を持っている。
今年も楽しい集いとなったが、担当者としては更に有意義でup to dateな企画を立てて行きたいと考えている。さらに多くの若い医師・研究者の積極的参加を切に希望している。
最後に、絶大なる協賛をしていただいている小野薬品工業株式会社に心より感謝申し上げます。