K・Kニュース vol.10(2006年6月号)
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第50回日本リウマチ学会総会・学術集会
平成17年4月23日から26日の4日間、長崎大学大学院医歯薬総合研究科、病態解析・制御学講座の江口勝美教授の主催により、“リウマチ学の半世紀を鑑み、リウマチの治癒をめざす−蘭学発祥の地から世界へ−”と題され、長崎の地で開催された。
初日には、昨年に続いて、有料のアニュアルコースレクチャーが開催され、大ホールが満席になるほどの盛況であった。第50回の記念すべき大会は、まさにリウマチ学の半世紀を振り返りながら、将来を見つめる節目の大会となった。関節リウマチにコルチゾールが使用されてから約半世紀がすぎ、新たに抗TNF製剤を始めとした、生物学的製剤が登場し、関節リウマチの治療は、画期的な転換期を迎えている。
既に臨床応用されているインフリキシマブやエタネルセプトのほか、治験中のアダリマブやトシリズマブなどの新たな生物学的製剤についても、その優れた臨床効果など最新の知見が紹介され、活発な討論がなされた。
これらの生物学的製剤を一般臨床の中で、どのように使いこなしていくのが良いのか、使用指針を考える方向に議論の中心が移り、将来を見据えた総会であったと感じた。(独)国立病院機構福岡病院 リウマチ科医長 吉澤 滋
第18回日本アレルギー学会春季臨床大会
2006年5月30日(火)から6月1日(木)の3日間、東京西新宿の京王プラザホテルで開催された。会長は聖マリアンナ医科大学の中川武正先生。この会は日本皮膚科学会、日本心身症学会、日本呼吸器学会と一部重なったが盛会のうちに終了した。学会が重なるのもある意味では不便だが、ある意味では便利であった。
会長の言葉である「春季臨床大会の目的は、アレルギー疾患の臨床に立脚したプログラムを変性して、診療に役立つ情報を皆様に得て頂くことにある」ということから「21世紀のアレルギー診療を模索する」という主題の基で行われた。
鼎談、特別/招待講演8、教育講演15、シンポジウム10、プロ/コンセッション2、教育セミナー15、イブニングシンポジウム9というものであった。患者を取り巻く医療職の連携や、リスクマネージメントなど総合的な内容であり、今後、アレルギー医療に携わるものに必要な内容であり、今後のテーマも多く示された学会であった。
(独)国立病院機構福岡病院 統括診療部長 小田嶋 博
第46回日本呼吸器学会学術講演会
第46回日本呼吸器学会学術講演会は、日本医科大学内科学講座の工藤翔二教授の主催で、平成18年6月1日〜3日、東京国際フォーラムにおいて開催された。会長講演は「びまん性汎細気管支炎とマクロライド療法」であり、難治性疾患の克服に向けての歴史がよく理解できた。
シリーズ「呼吸器病学の歴史―日本から世界への貢献」の5回の講演は日本の呼吸器病学の発展に関する内容であった。緊急シンポジウム「石綿曝露による健康障害」と「新型インフルエンザのパンデミック」は時流に合致した関心の高いテーマであった。
喫煙問題に関する検討委員会によるシンポジウム「呼吸器外来で行う禁煙支援」と市民公開講座「医者嫌い・たばこ嫌い」は、禁煙と疾病予防に向けて学会としてリーダーシップをとる企画であった。他の学会との共同企画も組まれており、日本結核病学会との共同企画「抗酸菌症の変貌とその対策」、日本アレルギー学会との共同企画「GINA世界喘息デー2006/日本:究極の喘息コントロールを目指して」、日本小児呼吸器疾患学会との共同企画「慢性咳嗽:小児と成人の共通点・相違点」、日本呼吸器外科学会との共同企画「呼吸器領域での内科と外科の接点」、日本肺癌学会との共同企画「これからの非小細胞肺癌における術前術後化学療法」は、いずれも今後の診療に役に立つ有益な内容であった。
約5,000人の参加者があり、新しい知見が得られて充実した内容の学会であった。(独) 国立病院機構福岡病院 臨床研究部長 下田照文
第62回 AAAAI
(American Academy of Allergy Asthma & Immunology)
2006年3月3〜7日、米国フロリダ州マイアミビーチで第62回AAAAIが開催された。6000人以上の参加者で全米を問わず世界各地から出題・招請されて、国際色にあふれている。
会長のテーマの1つは“Anaphylaxis”で基礎から臨床まで関連する講演とエピペン使用や挿管の実習まで含めて開催中ほぼ毎日行われ、力を入れていた。
喘息の評価は治療者と患者の満足度が異なり、患者はQOLが低いという結果から、治療のガイドランに沿った一辺倒の治療ではなく個々人に合わせた治療の重要性が強調されていた。また喘息の自己管理法がピークフローでは不十分で1秒量を測定しようという研究者が増えている。会場は巨大な教育の場であり、シンポジウム・ワークショップが約30、セミナー120の他教育プログラムが目白押しであった。
口演は開催側が選抜した演題に限り5日間で約120題、一般演題はポスターで約1300題で、抄録のキーワードからcytokines, Airway inflammation: Asthma, Asthma in childrenが上位3位を占めていた。
非常に多くの演題が多岐にわたり基礎・臨床・公衆衛生の立場から出題されていた印象であった。(独)国立病院機構福岡病院 アレルギー科医長 岸川禮子
第24回 日本耳鼻咽喉科免疫・アレルギー学会
三重大学耳鼻咽喉科間島雄一教授会長のもと第24回耳鼻咽喉科免疫アレルギー学会が3月2日から4日までの3日間、三重県鳥羽市で開催された。
会場は恒例の如く、ポスター展示/ディスカッション以外は一室で行われるので、全員が一堂で講演・シンポジウム・一般口演を楽しむことができる。(写真を挟んで下記に文章続く)
会長の本学会への提言は「基礎と臨床の結合」であり、基礎で得た研究成果の臨床への応用と、逆に臨床から得た実質的体験が基礎研究へ発展することを狙ったものと推察された。
プログラムの特別企画は下記別表の如くで、内容の濃い、若手研究者/臨床家にとって興味深いものであった。次回は山梨大学耳鼻咽喉科増山敬祐教授の会長で、2007年3月29、30、31日に甲府で開催予定である。
熊本大学名誉教授 石川 哮
[第1日] 教育研修1:三重大学分子病態学 鈴木宏治氏
「血液凝固系因子による肺・気道系組織の病態形成とその制御」
教育研修2:慶応大学病理学 岡田保典氏
「細胞外マトリックス分解酵素と疾患」
スポンサードレクチャー:Imperial College, UK. Prof. PJ Barnes
「New treatments for allergic diseases」
[第2日] 特別講演:三重大学腫瘍免疫内科 珠久 洋氏
「固形がんの免疫療法:トランスレーショナルリサーチの実践と課題」
ランチョンセミナー:三重病院 藤沢隆夫氏
「好酸球研究のアップデート」
[第3日] モーニングセミナー:脳神経疾患研究所付属総合南東北病院 今野昭義氏
「鼻アレルギー診療ガイドライン-現状と今後の展望-」
特別講演:岐阜薬科大学 永井博式氏
「アレルギー炎症とリモデリング」
ランチョンセミナー:東京女子医科大学内科 近藤光子氏
「気道の慢性炎症とマクロライド」
シンポジウム:司会:札幌医科大学 氷見徹夫氏、滋賀医科大学 清水猛史氏
「アラキドン酸代謝物の新しい展開と臨床応用」
公開講座:「アレルギー性疾患の早期発見と早期治療」
福岡病院 小田嶋 博氏、同志社女子大学 伊藤節子氏、
日本医科大学 大久保公裕氏
学 会 予 告 第37回日本職業・環境アレルギー学会総会・学術大会
会 長:
浅井貞宏(佐世保市立総合病院 副院長)
会 期:
平成18年7月7日(金)〜8日(土)
会 場:
アルカスSASEBO
第36回日本皮膚アレルギー学会総会・第31回日本接触皮膚炎学会総会合同学術大会
会 長:
片山一朗(大阪大学医学部皮膚科学 教授)
会 期:
平成18年7月15日(土)〜16日(日)
会 場:
淡路夢舞台国際会議場
第34回日本臨床免疫学会総会
会 長:
尾崎承一(聖マリアンナ医科大学内科学 リウマチ・膠原病・アレルギー内科 教授)
会 期:
平成18年10月2日(月)〜3日(火)
会 場:
都市センターホテル
第56回日本アレルギー学会秋季学術大会
会 長:
森川昭廣(群馬大学大学院医学系研究科小児生態防御学分野 教授)
会 期:
平成18年11月2日(木)〜4日(土)
会 場:
東京国際フォーラム
第39回日本小児呼吸器疾患学会
会 長:
高瀬眞人(日本医科大学多摩永山病院小児科 講師)
会 期:
平成18年11月17日(金)〜18日(土)
会 場:
有明TFTホール
第21回日本臨床リウマチ学会総会
会 長:
山本一彦(東京大学医学部アレルギーリウマチ内科 教授)
会 期:
平成18年11月21日(火)〜22日(水)
会 場:
京王プラザホテル
第43回日本小児アレルギー学会
会 長:
河野陽一(千葉大学大学院医学研究小児病態学 教授)
会 期:
平成18年11月25日(土)〜26日(日)
会 場:
幕張メッセ
研 究 会 予 告 第11回日本ラテックスアレルギー研究会
会 長:
柴田 瑠美子 国立病院機構福岡病院小児科
会 期:
平成18年7月23日(日)9:00〜17:00
会 場:
九州大学医学部百年講堂
九 州 支 部 研 究 助 成
研究課題 研究者(所属) 実施期間 1) 小児喘息に対するEarly Interventionの
有用性の気道炎症による評価下田 照文
(国立病院機構福岡病院)16年4月〜
19年3月2) 咳喘息(cough variant asthma)の病態解明と抗炎症療法(継続)
下田 照文
(国立病院機構福岡病院)16年7月〜
18年12月