K・Kニュース vol.12(2007年8月号)


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講演会・研修会 報告

第13回アレルギー週間記念講演会(鹿児島市)

鹿児島大学大学院医歯学総合研究科聴覚頭頸部疾患学教授 黒野 祐一

平成18年度のアレルギー週間行事の一環として第13回アレルギー週間一般向け記念講演会が鹿児島市においても、平成19年2月4日に、鹿児島大学病院耳鼻咽喉科・頭頸部外科と日本アレルギー協会九州支部との共催で、昨年と同じく鹿児島市東千石町にあるKCプラザ・ピアノホールにおいて開催された。

 今回は「よくわかるアレルギー疾患」をテーマとして、一般の人々にアレルギー性鼻炎、喘息、アトピー性皮膚炎の病態と治療法を正しく理解していただくことを目的とした。テーマのインパクトがあったのか、3つのアレルギー疾患を取り上げたためか、参加者は60名と昨年よりかなり多くなり、会場がほぼ満員となった。

まず、鹿児島大学病院耳鼻咽喉科・頭頸部外科准教授の松根彰志先生が「アレルギー性鼻炎と副鼻腔炎」と題して、アレルギー性鼻炎やスギ花粉症の発症機序を概説し、さらに、慢性副鼻腔炎との関連性や治療法について講演した。喘息に関しては、同じく鹿児島大学病院呼吸器内科の東元一晃先生が「最近の喘息治療法」と題して、成人の喘息ガイドラインにしたがって、重症度別に喘息の病態とその治療法を解説した。
同大学病院皮膚科の吉井典子先生は「アトピー性皮膚炎とスキンケアー」と題して、アトピー性皮膚炎の病態を他の皮膚疾患と比較しながら解説し、スキンケアーの重要性とその具体的な方法を説明した。
いずれの講演も非常に分かりやすく、演者の先生の巧みな話術に聴衆全員が聞き入っていた様子であった。

 講演終了後、総合討論として会場からの質問を受け、それに対して各演者の先生に答えていただくとともに演者間での討論を行った。耳鼻咽喉科、呼吸器内科、皮膚科の3つの領域を網羅したこともあって、非常に多くの質問が寄せられたが、こうした形式の講演会ではありがちなことではあるが、聴衆のほとんどが何らかのアレルギー疾患を患っている人々で、かなり個人的な質問が多かった。
客観的な検査データがないため、これに的確に対応することは難しいと思われたが、専門医の中の専門医であるそれぞれの演者の回答にずいぶん納得されていたようである。しかし、なかには、鼻水が少し出るというだけで、あるいは咳が数日続くというだけで、アレルギー性鼻炎や喘息と診断され投薬を受けている人、明らかに蕁麻疹と思われるのにアトピー性皮膚炎と誤解している人などがいて、一般的なアレルギー診療の現実に驚かされた。
アレルギー疾患治療の成績向上のためには、一般の人々への啓発も然ることながら、実地医家の教育そしてアレルギー専門医のさらなる育成が必要であることを認識させられた。ちなみに、鹿児島県はこの2年連続して喘息死亡率が全国1位であり、専門医そして専門病院の数も全国でかなり下位にランクされている。この講演会もこの汚名返上の一助になればと願う次第である。


第13回アレルギー週間記念講演会(福岡市)

国立病院機構福岡病院 副院長 庄司 俊輔

平成18年度のアレルギー週間一般向け福岡講演会は、平成19年2月25日の日曜日に、日本アレルギー協会九州支部主催により、今回も福岡市天神の天神ビルで開催された。
この講演会は今回で13回目を迎え、今年も約100人の参加者があった。
今回のテーマは「知ってますか?いろいろなアレルギー」で、「花粉症」、「食物アレルギーの献立」、「皮膚のかぶれ」、「喘息」の小テーマごとに、日本アレルギー協会九州支部長の国立病院機構福岡病院(以下:福岡病院)院長の西間三馨先生の司会により講演が行われた。

まず「花粉症」では、「今年のスギ花粉症?」と題して福岡病院アレルギー科医長の岸川禮子先生が平成19年のスギおよびヒノキ花粉の飛散状況を述べられ、次いで宗耳鼻咽喉科医院院長の宗信夫先生が「花粉症の治療」と題して花粉症一般に対する対処法を講演された。
「食物アレルギー症の献立」は管理栄養士である国立病院機構福岡病院栄養管理室長の池本美智子先生による、今年の講演会のいわば目玉ともいえるユニークな内容の講演で、食物アレルギー患者に対して食物アレルゲンを除去した料理をいかに見た目も内容も自然にして、しかも栄養に偏らない食事を提供するかを工夫や苦労話も交えてお話しされた。

福岡大学医学部皮膚科助教授の久保田由美子先生による「皮膚のかぶれ」と題した講演は、いつものアトピー性皮膚炎の内容のみならず、化粧品や薬などによる「かぶれ」についても、多数の貴重な症例写真も交えたお話だった。
喘息は、成人については国立病院機構福岡病院副院長の庄司俊輔(本稿著者)が、小児については佐賀大学医学部小児科教授の濱崎雄平先生が、診断から治療全般について主に最新の治療ガイドラインに基づいて講演した。

その後に全部の講演に関する総合的な質疑応答が行われ、会場からたくさんの質問があり、今年も時間を延長する結果となった。来場者からのアンケートの統計結果の一部を別図に示した。何らかのアレルギーのある方は79%とほぼ5人中4人であり、アレルギー原因別ではやはりスギが圧倒的多数であった。

毎年好意的なコメントが多く主催者としてもやりがいがあるが、もっと資料がほしいという意見もあり来年には整えたい。企業展示も好評であった。写真の会場風景から熱心に聞き入る様子がご覧いただけると思う。


第6回アレルギー・臨床免疫医を目指す人達の為の研修会

日本アレルギー協会九州支部長(NHO福岡病院長) 西間 三馨

 日本アレルギー協会九州支部主催で「第6回アレルギー・臨床免疫医を目指す人達の為の研修会」が平成19年3月17日(土)、18日(日)の両日に福岡市内の八重洲博多ビルで開催された。
今回も前年同様、全国各地から熱心な若手医師の参加が得られた。プログラムは例年にならい、第1日目がアレルギー、第2日目がリウマチ・膠原病疾患を主軸とした講義形式の研修会としている。

 アレルギー疾患は主テーマを「アレルギー疾患の病態と治療」とし、久保千春日本アレルギー協会九州支部副支部長(九州大学心療内科教授)と庄司俊輔評議員(NHO福岡病院副院長)の司会で、

概論 :

西間三馨九州支部長

眼アレルギー :

内尾英一福岡大学医学部眼科教授

鼻アレルギー :

黒野祐一鹿児島大学大学院耳鼻咽喉科教授

小児気管支喘息 :

小田嶋博NHO福岡病院統括診療部長

成人気管支喘息 :

庄司俊輔同副院長

皮膚アレルギー :

古賀哲也福岡赤十字病院皮膚科部長

食物アレルギー :

柴田瑠美子NHO福岡病院小児科部長

と、それぞれ各分野の専門医からの講演があった。

すべて、最新のガイドラインのエキスであり、総合的な討論も行われ理解をより深めることができた。

その後、第2部に移った。第2部は日本心療内科学会の吾郷晋浩理事長による「アレルギー疾患の心身医学的な診断と治療」の講演があった。最近、ともすれば薬物療法に押されて忘れがちな心身医学的アプローチによるアレルギー疾患の診断と治療の重要性を再確認させる講演であった。

 第2日目のリウマチ・膠原病疾患の主テーマは「自己免疫疾患」である。企画立案の江口勝美長崎大学病院長と長澤浩平佐賀大学膠原病リウマチ内科教授の司会で、

概論:(HTLV-1感染と自己免疫・アレルギー):

岡山昭彦宮崎大学医学部内科学免疫感染病態学分野教授

ベーチェット病の臨床:

多田芳史佐賀大学医学部膠原病・リウマチ内科講師

小児膠原病・リウマチの特徴:

武井修治鹿児島大学医学部保健学科母性小児看護学講座教授

中枢神経系の自己免疫・アレルギー:

吉良潤一九州大学大学院医学研究院・神経内科教授

リウマチに対する生物学製剤の作用機序:

堀内孝彦九州大学免疫・膠原病・感染症内科講師

による講演が行われた。

  
 聴講者は前日よりむしろ多いくらいであり、新しい知見と活発な討議が行われた。また、恒例の第一日夜の夕食会・意見交換会の中で交わされる聴講者と講師の会話は、研修会のさらなる知識吸収と理解に役立っている。 

今年も楽しい集いとなったが、担当者としては更に有意義でup to dateな企画を立てて行きたいと考えている。さらに多くの若い医師・研究者の積極的参加を切に希望している。
 最後に、多年にわたり絶大なる協賛をしていただいている小野薬品工業株式会社に心より感謝申し上げます。



ローカル
ニュース

バーベキューパーティ&大村湾クルージングinハウステンボス

阿南皮膚科医院 院長  阿南 貞雄
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 このたび5月の土日の両日を使って「バーベキューパーティ&大村湾クルージングinハウステンボス」なる行事を実行いたしました。これは日本アレルギー協会九州支部の支部長であります西間先生に2年以上も前から「やりましょう!」と約束していたのですが、先生は超お忙しい方で日程の調整がなかなかつかずにようやく今回の実施となりました。
メインゲストはもちろん西間先生ですが、九州支部が毎週日曜朝に放送しています「アレルギー談話室」の関係者をゲストに迎えました。写真のように西間先生を中心に、KBCからはアナウンサーの倉富さんと西村さん、白石さんが参加、番組編成企画委員の井上先生、薬剤師の田中先生、九州支部の岩崎さんがお揃いになりました。
迎えるホストはハウステンボスヨットクラブのメンバー約10名で、クラブハウス前の広場で西間先生のご挨拶と乾杯の音頭でパーティが始まりました。2時間ほどビール、ワイン、焼酎、コニャックなど飲みながら会話が賑やかに盛り上がりました。食べ物は牛肉、豚肉、ずわい蟹の炭焼きが主体でしたがオクラの炭焼きが大好評でジャンケンで取り合うほどでした。2次会は35フィートのバルチックヨット「Native Dancer」のキャビンで引き継がれ9時からは花火がどかんと夜空に打ち上げられてしばし楽しみました。

 翌日は朝からすばらしい好天に恵まれ、午前10時一行は「Native Dancer」に乗ってハウステンボスマリーナを出航しましたが、なにしろまったく風がなく帆に風を受けてしゃばしゃば波を切るセーリングが全然出来ずエンジンをかけて大村湾を走ることになりました。しかし、大村湾の潮の香りは心地よかったかと思われます。
途中われわれのヨット仲間が若くして突然亡くなって49歳の生涯を終えたのですが、海とヨットが大好きでしたので大村湾中央付近で散骨式をクルージングと併行して執り行いました。皆さんのご協力で無事終了。その後も全く風が出ずやむなく西海橋と新西海橋を橋の下から見物に参りました。
2時間少々のクルージングを終え、ハウステンボス内のイタリアレストランで昼食を取り解散となりました。みなさん楽しい休日に満足そうでした。

   

 ここで「Native Dancer」について少しばかり紹介させていただきます。われわれがクルージングチームを結成しましたのが平成6年で、長崎大学ヨット部OBの中から長崎市近郊で開業しております医学部OBの6名、薬学部ならびに経済学部OB各1名の8名が「マリンクリエイト琴風」なる有限会社を設立、現在の1代前の「Native Dancer」を購入しました。名目は各事業所の福利厚生施設として利用するということでありますが、最大のメリットは1人で買えばけっこうな値段になるものを8人で割りますとたいした額にならないということで、そこから「悪八」と周囲から囁かれるようになりました。
「Native Dancer」の名前の由来はアメリカで最強の雌の競走馬からいただきました。25戦24勝の戦歴でただ1回の負けは2着だったそうであります。この初代「Native Dancer」は普段はおとなしいのですが、風が強くなってきますと、めちゃめちゃ傾くは、ちょっと操作を誤ると舵が効かなくなるは、まるでじゃじゃ馬でありまして、われわれ年寄りにはきついと誰からともなく言い出しました。
もう少しどっしりした船に変えようじゃないか。そこで海のロールスロイスと呼ばれておりますBaltic35の新造艇を購入することになりました。言ってみればレース指向の船からちょっと贅沢な宴会船に買い換えたわけですが、これまた「悪八」で割りましたのでなんとかなりました。
この船に乗るようになって昨年で丁度10年になり盛大に10周年記念パーティを行いました。ヨットの共同オーナーというのはこの世界では内輪げんかでそのうち割れるというのが常識なのですが、もとヨット部の先輩後輩の関係は現役時代に絞り上げでありますので10年経っても壊れずに済んだのでしょう。現在マリンクリエイト琴風はレース指向の「Native Dancerエリオット」を保有しておりまして、昨年のハウステンボスカップヨットレースでみごとファーストホーム賞を獲得しました。

 以上、「バーベキューパーティ&大村湾クルージングinハウステンボス」のご報告と「Native Dancer」の紹介をさせていただきました。


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