K・Kニュース vol.12(2007年8月号)


〜Page4〜

第63回AAAAI(American Academy of Allergy, Asthma & Immunology)

 今年のAAAAIは平成19年2月24日?27日までサンジェゴで開催された。アレルギーに関するシンポジウム、セミナー、ワークショップ、Pro/Con、一般演題の中で食物アレルギーの話題について報告する。食物アレルギーに対する経口減感作や耐性化評価の検討に関する報告が多くなっていた。とくに米国ではピーナッツアレルギーは300万人におよび、アナフィラキシーショックによる死亡が多く耐性化しにくいことから経口減感作についてはこれまで積極的には行われていなかったが、微量のピーナッツの定期的経口負荷による耐性化(IgG4増加)の検討が発表された。

 卵アレルギー児での経口減感作、ミルクアレルギー児における高温加熱食品のオープン法による耐性化評価、Pro/Conでの厳格な除去食と予後に関するdebateが注目された。小麦アナフィラキシーの予測や耐性化評価におけるω-5グリアジンIgE抗体の意義については他国に先駆けて著者を含む本邦の3演題で報告された。食物アナフィラキシーのワークショップではIgE抗体の推移やエピトープIgEの活用が示された。患児・家族支援プログラムの試みなど日常生活指導に有用な報告もみられた。

(国立病院機構福岡病院小児科部長 柴田瑠美子)


第25回日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー学会

 平成19年3月29日から31日までの3日間、第25回日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー学会が、山梨大学医学部耳鼻咽喉科・頭頸部外科教授の増山敬祐先生の主宰で、ベルクラシック甲府(甲府市)で開催された。

 今回は、「免疫学的治療の新しい展開と将来」をテーマとして、アレルギー性鼻炎や頭頸部癌の免疫療法に関する特別講演や一般演題が報告された。特別講演は、東京大学医科学研究所先端医療研究センターの田原秀晃教授が癌ペプチドワクチン療法について、また、ランチョンセミナーでは、東北大学機能薬理学分野の谷内一彦教授が抗ヒスタミン薬の最新情報を、そして、群馬大学小児生体防御学の荒川浩一先生が小児科の立場から喘息とアレルギー性鼻炎の関連性について講演された。さらに、大久保公裕先生と大橋淑宏先生の司会によるシンポジウム「アレルギー免疫療法の普及をめざして?現状と将来?」では、英国のDurham教授の基調講演をまじえて免疫療法の問題点と対策について討論された。

 学会初日の教育研修会も、山梨大学免疫学講座の中尾篤人教授と理化学研究所の藤井眞一郎先生が最先端の話題を提供された。

 甲府市名産のワインと同じく、年を重ねるほどに味わいが豊かに、そして深くなる学会であることを感じさせられた。

 (鹿児島大学聴覚頭頸部疾患学教授 黒野祐一)


第51回日本リウマチ学会総会・学術集会
第16回国際リウマチシンポジウム

 第51回日本リウマチ学会総会は第16回国際リウマチシンポジウムと合同で、日本大学医学部整形外科教授龍順之助会長の主催で2007年4月26日より29日までの間、パシフィコ横浜にて開催されました。第51回となる今回は「次なる半世紀に向けて?リウマチの病態解明と治療の新たなる挑戦?」のテーマのもと、12題のシンポジウムや954題のワークショップおよび266題のポスター演題の他、instructive course lecture、ランチョンセミナー、イブニングセミナーなど多数の演題が組まれました。第50回までの半世紀は、ステロイドの開発から、その反省期を経て、ついに生物学的製剤の登場にいたる50年でした。今第51回では「生物学的製剤?インフリキシマブとエタネルセプトの明と暗?」のシンポジウムを始めとして、光と影の両面に焦点をあてて冷静に効果を討論するセッションが多数組まれていました。

 臨床の立場からすれば、どのようにこの抗TNF製剤を使いこなしていくかなどまだまだ課題も多く、多数の聴衆の参加する中で熱いディスカッションが繰り広げられました。さらに抗TNF製剤の後に続く新しいリウマチ治療薬として、新たな生物学的製剤の開発成果のみならず、「新たなる治療ターゲット?生物学的製剤を超えて?」と未来に向けた研究の成果も発表され、とても充実した学会でした。

(国立病院機構福岡病院リウマチ科医長 吉澤 滋)


第47回日本呼吸器学会学術講演会

 平成19年5月10日から12日の3日間、東京フォーラムを会場に第47回日本呼吸器学会学術講演会が開催された。東北大学加齢医学研究所呼吸器腫瘍研究分野教授貫和敏博先生が主催され、「未来へ繋がる呼吸器診療:予防医学と個別化医療」をテーマに5つの特別シンポジウム、8つのシンポジウム、7つのワークショップ、11の教育講演など盛りだくさんであった。今回の学会では、結核病、アレルギー、小児呼吸器、呼吸器外科、肺癌、日本麻酔科の諸学会、米国Rare Lung Disease Consortiumとの関連学会共同企画や、テーマに沿った4つの個別化医療講演、また予防医学の立場から喫煙対策をとりあげたことが特徴的であった。特に麻酔科学会との共同企画においては、人工呼吸器の基礎的講演から非侵襲的陽圧換気呼吸、さらには人工呼吸器関連肺炎、人工呼吸器による肺障害についての講演があり、とても興味深く拝聴した。海外からはCrystal博士、Mandell博士をはじめとして、著明な先生方が参加され、レベルの高い講演を聞くことができた。特発性間質性肺炎のシンポジウムでは、血清マーカーの妥当性や画像診断のポイント、また急性増悪時の治療についての講演があり、日常の臨床にも役立つものであった。

 さらに一般講演も多彩でミニシンポジウム、ポスターディスカッション、ポスタープレゼンテーションに分けられ、欧米の学会の形式であった。テーマ通りに「未来に繋がる学会」であった。 

(国立病院機構福岡病院呼吸器科部長 野上裕子)


第24回日本小児難治喘息・アレルギー疾患学会

 第24回日本小児難治喘息・アレルギー疾患学会は、2007年5月25・26日の両日、東京シェーンバッハ・サボーにて開催された。この学会は、喘息やアレルギー疾患の治療を多職種のチームで取り組んでいこうという主旨のもとに作られた。

 今日、アレルギー疾患の治療は単純化され、喘息はステロイドとβ2刺激薬だけという形になりつつあります。しかし、重症例は勿論ですが、実際にはこれだけではコントロールされない例を多く体験し、それが真に専門医の腕の発揮どころであるということを考えると、この学会は実に今日的な問題に取り組んでいる学会といえましょう。

 今回は、約350名の参加者により、2日間、熱心な討論が行なわれました。シンポジウムは「気管支喘息児をとりまく環境 その問題点と対策」、「食物アレルギー児をとりまく環境 その問題点と対策」、「喘息を難治化させないために」の3題、またDebate Sessionとして「小児気管支喘息とステロイド薬」が行なわれ、夫々に実り多い討論が行なわれました。このようなテーマを丁寧に掘り下げていくことが今大切と思われます。通り一辺の治療では軽快しない多くの難治例が解決されていくことが期待されます。

 また、今回は学会ロゴマークの公募、投票も行なわれました。学会の主旨を多くの会員に理解してもらい、自らが投票することで、また学会の主旨を改めて考え、話し合いながら、投票している姿が見受けられました。このこともまた、今回の大きな成果の1つと考えられます。来年は奈良で天理よろづ相談所病院、南部先生の会長で5月31日?6月1日に行なわれます。

(国立病院機構福岡病院統括診療部長 小田嶋 博)


第19回日本アレルギー学会春季臨床大会

 第19回日本アレルギー学会春季臨床大会(会長 西岡 清先生、横浜みなと赤十字病院)が平成19年6月10日(日)?12日(火)にパシフィコ横浜で開催された。「アレルギー診療の質の向上を目指して」をテーマに最近の知見、トピックス、基本的に重要なアレルギー疾患の基礎と臨床などを専門家がわかりやすく他の専門分野に従事する会員にも知識を伝達した。
招請講演、特別講演、シンポジウム、教育講演、サテライトシンポジウムと盛りだくさんのプログラムの中で、私と同様に同じ時間帯に聞きたい講演が複数あった会員が多数ではなかったかと思う。どれを選択して自分の糧にするかを訓練する場でもある。
またミニシンポジウム(10組100題)・ポスター(300題)では興味ある臨床データの発表で、各セッションでは活発な質疑応答がなされていた。科を超えたアレルギー学と医療訴訟の知識も医学知識と同じく重要であると考えさせられた。まだまだ知らないことばかりである。中華街の美味な食事、ホテル内の贅沢なランチは良かった。

(国立病院機構福岡病院アレルギー科医長 岸川禮子)


学 会 予 告

 第57回日本アレルギー学会秋季学術大会

 

会 長:

池澤善郎 (横浜市立大学医学部皮膚科 教授)

会 期:

2007年11月1日(木)〜3日(土)

  

会 場:

パシフィコ横浜

 第40回日本小児呼吸器疾患学会大会

 

会 長:

井上壽茂 (住友病院小児科診療主任部長)

会 期:

2007年11月17日(土)〜18日(日)

  

会 場:

大阪国際交流センター

 第22回日本臨床リウマチ学会総会

 

会 長:

武井修治 (鹿児島大学医学部保健学科 教授)

会 期:

2007年11月30日(金)〜12月1日(土)

  

会 場:

かごしま県民交流センター

 第12回日本心療内科学会総会・学術大会

 

会 長:

中島重徳 (近畿大学医学部呼吸器・アレルギー内科 教授)

会 期:

2007年12月1日(土)〜2日(日)

  

会 場:

大阪国際交流センター

 第44回日本小児アレルギー学会

 

会 長:

宇理須厚雄 (藤田保健衛生大学坂文種報徳会病院小児科 教授)

会 期:

2007年12月8日(土)〜9日(日)

  

会 場:

名古屋国際会議場

 第37回日本皮膚アレルギー・接触皮膚炎学会総会学術大会

 

会 長:

松永佳世子 (藤田保健衛生大学医学部皮膚科 教授)

会 期:

2007年12月14日(金)〜16日(日)

  

会 場:

名古屋国際会議場

 日本花粉学会 第48回大会

 

会 長:

三好教夫 (岡山理科大学基礎利学科 教授)

会 期:

2007年9月22日(土)〜23日(日)

  

会 場:

国際学術交流センター・加計センター


研 修 会 予 告

 第35回西日本小児アレルギー研究会

 

代表世話人

小田嶋 博 (国立病院機構福岡病院統括診療部長)

会 期:

2007年9月1日(土)〜2日(日)

  

会 場:

アクロス福岡

 第59回日本呼吸器学会九州地方会 ・ 第59回日本結核病学会九州地方会

 

会 長:

門田淳一 (大分大学医学部感染分子病態制御講座:内科学第二教授)

会 期:

2007年11月22日(木)

  

会 場:

大分県立別府コンベンションセンター


九 州 支 部 研 究 助 成

 研究課題
研究者(所属)
実施期間

1)

咳喘息(cough variant asthma)の病態解明と抗炎症療法(継続2回目)

下田 照文
(国立病院機構福岡病院)
17年7月〜
19年12月

2)

6ヶ月〜4歳の日本小児気管支喘息患者を対象としたブデソニド吸入用懸濁液のメッシュ式ネプライザーによる吸入の有効性及び安全性を検討

小田嶋 博
(国立病院機構福岡病院)
18年11月〜
19年10月


前ページへ

 

 

次ページへ