K・Kニュース vol.14(2009年2月号)


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公開講座 I

第14回アレルギー週間記念講演会(鹿児島市)

鹿児島大学大学院医歯学総合研究科 耳鼻咽喉科・頭頚部外科学 松根 彰志
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 3月9日(日)午後1時より、鹿児島市、JR鹿児島中央駅前のダイエー「キャンセ」7階にあります、鹿児島市勤労者交流センター(通称「よかセンター」)で、市民公開講座(無料)を開催しました。40名の一般市民の方が聴講に来られました。
例年は2月のアレルギー週間の時期に本講座を開催していますが、今年は、2月中にスケジュールがとれなかった為に、3月に「耳の日」と合同で実施することになりました。

 アレルギー週間としての講演内容は以下のごとくでした。

司会  西元謙吾 先生

1. 花粉症のうそ・ほんと …………………… 松根彰志(鹿児島大学)

2. 小児アレルギー性鼻炎で気をつけること …………… 黒野祐一 先生(鹿児島大学)

 今年のスギ花粉症は、2月の気温が低かったため、例年よりも本格的飛散開始は遅くなりました。飛散量はほぼ昨年(07年)とほぼ同様でした。公開講座当日は、既にスギ花粉症の本格的飛散時期に入っており、実際に症状がでて困っておられる方も多数聴講に来られました。

 「1.花粉症のうそ・ほんと」では、一般の方々にとって、わかりやすく、聞いて役に立つ内容にしようと、「うそ?ほんと?」形式でやってみました。特に、いわゆる「民間療法」として出回っている治療法の多くが、実はエビデンスのないものであり、「体験談」プラセボ効果の域をでないものが掲載されていることが多いことなどをお話しし注意を喚起しました。
その一方で「代替医療」として「機能性食品」といわれるものが、現在、広く調査研究の対象になっていることなども説明致しました。

 「2.小児アレルギー性鼻炎で気をつけること」では。最近問題になっているアレルギー性鼻炎の低年齢化について、その実態と家庭での対処法についてわかりやすく話していただきました。
小児では、喘息、アトピー性皮膚炎などといった、他のアトピー疾患との合併が多く見られ、受診するにしても必ずしも耳鼻咽喉科中心ではなく、小児科や皮膚科も含めて多くの医師を受診しているケースが少なくありません。極端な例では、「ドクターショッピング」状態になっており、特に若いお母さん方の間で悩みの深い方が多くおられるようです。

 今後も、情報を提供する場としてだけではなく、こちらが一般の方々のおかれている状況やお考えを知る場として、大切な機会とし続けていければと思います。


公開講座 II

第14回アレルギー週間記念講演会(福岡市)

国立病院機構東京病院 臨床研究部長 庄司 俊輔
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 平成19年度のアレルギー週間一般向け福岡講演会は、平成20年2月24日の日曜日に、日本アレルギー協会九州支部主催により、今回も福岡市天神の天神ビルで開催された。この講演会は今回で14回目を迎え、今年も約100名の参加者があった。今回は二部構成として、それぞれのテーマは、第一部が「花粉症と鼻のアレルギー」、第二部が「アレルギーのうそ?ほんと?〜アレルギー専門医がお答えします〜」であった。

 まず第一部は、日本アレルギー協会常任理事・熊本大学名誉教授の石川 哮先生の司会でふたつの講演が行われた。ひとつは国立病院機構福岡病院(以下:福岡病院)アレルギー科医長の岸川禮子先生による「今年の花粉飛散状況と花粉情報」、もうひとつは鹿児島大学大学院医歯学総合研究科耳鼻咽喉科教授の黒野祐一先生による「よくわかる花粉症・アレルギー性鼻炎」であった。特に黒野先生には耳鼻科領域のアレルギー疾患について総括的に詳しく述べていただいた。

 第二部は、日本アレルギー協会九州支部長の福岡病院院長の西間三馨先生の司会により、アレルギー疾患の中でも代表的な四つの病態について、特に「一般に信じられている情報が果たして正しいのかどうか」というポイントを中心に講演いただいた。
その四つは、本稿筆者の福岡病院副院長庄司俊輔(現:国立病院機構東京病院)の「喘息」、九州大学大学院医学研究院・医学部心療内科教授久保千春先生の「ストレスによるアレルギー」、九州大学大学院医学研究院・医学部皮膚科教授古江増隆先生の「アトピー性皮膚炎」、そして福岡病院小児科医長柴田瑠美子先生の「食物アレルギー」であった。

 最後に「講師による質問タイム」というコーナーがあり、石川・西間両先生の司会により、当日の全部の講演に対して会場に来訪された参加者からの質問にお答えした。会場からはたくさんの質問があり、活発な質疑のために今年も予定の40分の時間を延長する結果となった。
来場者からのアンケートの統計結果の一部を別図に示した。
参加者の有するアレルギー疾患の中では時節柄花粉症が最も多いようであるが、ブタクサアレルギーの多さが目を引き、今後秋の花粉症が増加することが懸念される。
講演会に来られたきっかけは、やはり新聞や広報誌が主であり、日本アレルギー協会九州支部ホームページを見て、というのが皆無なのは少し残念であった。九州支部ホームページは全国各支部の中では最も充実していると自負しているが、どのようにして情報を今以上に普及させるかが今後の課題である。


梅里雪山

 天神地下街のコーヒー店で梅里雪山という銘柄のコーヒーを飲んだ。とてもまろやかな味と香りのコーヒーだった。
中国雲南省の西端、チベット自治区との境に位置する梅里雪山は6740メートルを頂とする名峰であるが、1990年暮れ京都大学学士山岳会・中国合同隊が初登頂を目指したが、1991年1月3日夜から4日朝にかけて発生した大雪崩によって、17名全員が消息を絶ったことでも有名である。御遺体は7年後に雪解けとともに山麓の集落に流れついたことも大きな感動を呼んだ。

(九州大学大学院 皮膚科学教授 古江増隆)

くしゃみ鼻水が数ヶ月・・・

 くしゃみ鼻水が数ヶ月続いてIgE値を測ったらRISTで850、RASTのカンジダが2倍値に増えていて、タミフル無効のインフルエンザや肺MAC症の脅威に戦っています。どなたかアレルギーの専門医の方助けて下さい。   

(九州リハビリテーション学院 院長 岡崎禮治)

またも日本の政治に翻弄される医療

 医師不足解消のために医学部の定員数が増加されるらしい。物事の本質を見ることなく、ただ規則を変えてその場しのぎをしようとする日本の政治にまたもや翻弄されることになりそうである。医師数抑制を決断し、卒後研修医制度を導入したときの論議に立ち戻らなければ、この問題は解決しない。今不足しているのは地域医療を担う勤務医であり、専門医である。医学部定員を増やしても、医療費が膨らみ、医療の質が低下するだけである。

(鹿児島大学大学院 耳鼻咽喉科・頭頸部外科学教授 黒野祐一)

お母様方の日々の苦労

 市販の食品への毒物混入による健康被害の報道がこのところ目につきます。幸い死亡につながるような重大事例はないようですが、毎日の生活に直結しているだけに気になります。食物による被害という点では食物アレルギーが念頭に浮かびます。日頃患者さんのお母様に、何気なく当然のように "内容物を必ず確かめて下さいね"とお話ししていますが、日々の生活の中で食品をチェックしなければと思うお母様方の精神的ストレスの大きさを実感しています。

(佐賀大学医学部 小児科教授 浜崎雄平)


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