K・Kニュース vol.3(2002年12月号)


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第32回、サマーキャンンプ

国立療養所南福岡病院 診療部長 小田嶋 博


 高い山でもなく、広い海に面したでもなく、福岡市郊外の油山青年の家で今年の第32回喘息児サマーキャンプは行われた。油山中腹と言えば聞こえはいいが、参加者の大半を占める福岡市近郊の患者さんにとっては休日にでもすぐに行ける場所である。従って、参加者はきっと少ないだろうとの予測とは異なり、今年は90名弱の応募があり、約20名をお断りせねばならなくなってしまった。ボランティアも多数の応募があり、参加者という点では順調にスタートした。例年通り、1ケ月前に予診を行い、8月の5〜8日と3泊4日のサマーキャンプが始まった。参加者小学校1年生〜6年生の70人を9班に分け、各班に3〜4人の学生ボランティアリーダーが付く。医師4名、看護スタッフをこれに合わせて総勢120名である。

 ここ数年、各施設の協力が得られるようになり、食物アレルギーの児も参加可能となってきた。内容は喘息教室、腹式呼吸、痰出しの練習、縄飛び、ランニング、運動誘発喘息のテストなど、喘息キャンプらしい内容がある。これとは別に星物語、ウォークラリー、肝試し、キャンプファイヤー、野外調理など普通のキャンプ内容もある。この盛り沢山の内容を子供たちはこなして行き、疲れるのは大人たちで、子供は皆元気である。発作を起こす子供は、予診で心配された数名である。発熱も一人いたが、ほとんどの出し物に参加出来た。今年のニュースと言えば肝試しの時にイノシシが出てきて肝を冷やしたこと。やたらスコール風の雨が降り、しばしば行事を中断したこと等。このスコール様の雨は油山も海抜は低いが、一応山なのでという主張のせいか、それとも地球温暖化のせいか、一時考えてしまう程の雨の頻繁な年であった。それでも、油山には思ったよりも変化に富んだハイキングコースがあり、楽しくすごせたと思う。昨年より天候が幾分涼しかったせいかも知れない。

 最後にこの場をお借りして、御協力頂いた福岡県、福岡市の教育委員会、西日本新聞社、NHK、中村学園の皆様、また急なお願いに対して速やかな酸素の設置をしていただいた帝人在宅医療の皆様に対して御礼申し上げます。そして、何よりも元気な子供達と3泊4日を伴にしてがんばってくれたボランティアの学生さんや、社会人の皆様に感謝致します。皆様、来年もぜひよろしくお願い申し上げます。


タラソテラピー

上天草総合病院 名誉院長 岡崎 禮治


 タラソテラピー・Thalasso therapy・海洋療法は海の全てを病気の治療と健康増進に役立てようとする手段であってピポクラテスの時代から種々の処方が行われてきた。

 気管支喘息患者の鍛練は運動誘発喘息(EIA)の起こりにくい条件下で行うのが望ましいので水泳は最適のスポーツであるが、海水は真水より比重が高く、浮力、抵抗、水圧などすべての効果が強化される。そのうえ造波運動や潮流の変化によるエネルギー消費の増大、気泡の破裂によるエアゾルの発生の気管支保護作用があり、更に景観の変化が鍛練の単調さを防ぐので海水浴は最も理想的である。普通の海水浴のほか遠泳大会や寒中水泳などの海の気候のもとでの集団行事も心理面を含めて有用なイベントとして効果は大きい。

 海水はアトピー性皮膚炎にも有効なことから海でイルカと泳ぐドルフィン・テラピーを行う施設もある。海水を用いた発泡バス、海水シャワー、海藻浴、海泥浴などリハビリテーションに用いられ、海産物を用いた食事療法も行われる。

 アレルギーやストレスに起因する現代病の多くがタラソテラピーの適応があるとされ、フランスを中心に大西洋と地中海の沿岸で多くのタラソテラピー・センターがある。今後の展開が期待されていながら日本ではまだ数は少ない。

● 写真は喘息児の遠泳大会の様子(参加児60名、距離2km)


アレルギーッ子のキャンプ
    in YMCA 阿蘇キャンプ場

熊本アレルギーの子を持つ親の会事務局 今 村 陽 子


 8月12〜13日、熊本YMCAと共催で熊本MCA阿蘇キャンプ場で、一人で泊りが出きる子(5歳以上)を中心に「子供だけで参加できるキャンプ:親から離れて過ごし自信をつける」を目的とした1泊2日のキャンプを行いました。

 天候に恵まれYMCAリーダーの楽しいおしゃべりに爆笑しながら阿蘇キャンプ場へ。昼食後、子供達は冷たい湧水プールへ、保護者は阿蘇の大自然の中でこだわりの農業を営んでおられ「阿蘇百姓村」代表山口力男さんの話を伺いました。完全無農薬の美味しいお米や、豪快な豚の丸焼きに舌鼓を打ち、夜はキャンプファイヤーを楽しみました。二日目は記念品作りや、野外で木登りをして遊び回った後、カレーライスの昼食を食べました。

 子供達から「又来た〜い」との声が多数ありました。今回は食事作りをキャンプ場の調理師に依頼し、親も子もゆっくり楽しめるキャンプとなり、結果は大好評でした。

 子供の自立を助ける為の子供達だけのプログラムが出来ないかと検討しています。問題は、食事の対応・環境整備・医療期間の確保です。そのためにも「熊本YMCA」スタッフと情報交換してキャンプを続けて行きたいと思います。尚、このキャンプへは日本アレルギー協会九州支部より助成頂きました。深く御礼申し上げます。


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