K・Kニュース vol.4(2003年6月号)


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第13回 国際喘息学会 日本北アジア部会

〜平成15年2月28日・3月1日 アクロス福岡〜

 去る平成15年2月28日と3月1日の2日間に亘り、国立療養所南符岡病院長西間三馨会長の主宰により、第13回国際喘息学会(インタアズマ)日本北アジア部会がアクロス福岡4階の国際会議場で開催された。

 この学会は、国際喘息学会 INTERASMAのいわば地方会で、日本を中心として中国、台湾、韓国及び東南アジアの諸国を会員として構成されている(ことになっている)。「ことになっている」というのは実際には一般の会員は日本人のみで、上記の国々から講演者を招聘して開催しているからである。
 「北アジア」という言葉も成り行きでできたらしいが、実際にはこれにとらわれず、今回もオーストラリア及びニュージーランドからも学者を招いている。もともとは群馬大学教授(現名誉教授)の小林節男先生が日本でインタアズマを開催されたのを機に設立され、初期はアレルギー学会の際に便乗していったのが最近独立して開催されるようになった(学会事務局は今でも群馬大学第一内科の中にある)。

 さて、今回海外より招聘したのは、韓国から Ha-Baik Lee と Sang IL Lee 両教授、中国からChen Yu Zhi 教授、オーストラリアから Peter Sly教授、そしてニュージーランドからRichard Beasley 教授である。これらの先生方に、招待講演あるいはシンポジウムで講演していただくとともに、日本を代表する先生方にも特別講演、教育シンポジウムなどでおおいに活躍していただいた。

 西間院長の会長講演は「日本におけるアレルギー疾患の有症率変化と喘息治療の変化」と題するものであったが、座長をお願いしていた昭和大学の飯倉洋治教授が学会直前に急逝され、馬場実先生に座長をお願いして行われた。講演の最初に西間会長によって昔の飯倉先生のお姿のスライドが出されるなど、はからずも追悼の講演となった。飯倉先生の御冥福を心よりお祈りしたい。来年の第14回部会は同愛記念病院呼吸器・アレルギー科部長の佐野靖之先生により2月27、28の両日、東京にて開催される。

(庄司俊輔:国立療養所南福岡病院副院長 記)


 

第43回 日本呼吸器学会総会

〜平成15年3月13・14・15日 マリンメッセ福岡〜

 第43回日本呼吸器学会総会が九州大学大学院胸部疾患研究施設原信之教授の会長のもと、平成15年3月13日〜15日の3日間福岡市で開催された。メインテーマは「21世紀の呼吸器病学:分化と統合」で、現在の医療が臓器別、専門分野別が進み、全人的医療が軽視される傾向にあり、細分化する医学・医療を総合的に考えてもらいたいという会長の考えを反映したものだった。会長講演は「呼吸器病学の変換−過去、現在、ポストゲノム時代へ−」で、21世紀の呼吸器病学を展望したものだった。

 プレナリーシンポジウム「21世紀の呼吸器病学」では、肺癌、びまん性肺疾患、高齢者肺炎、閉塞性肺疾患、acute lung injury の5疾患に関して、これまでの成果と今後の展望が発表された。コングレスシンポジウムでは、肺癌、特発性間質性肺炎、重症喘息の3疾患が取り上げられ新しい研究の展開が発表された。学術集会の国際化を目的として、アジア太平洋呼吸器学会(APSR)、アメリカ胸部疾患学会(ATS)、ヨーロッパ呼吸器学会(ERS)に韓国呼吸器学会が加わり、日本呼吸器学会と合わせて5学会の共同でシンポジウムが開催された。
 シンポジウムの主題は、1)Pathogenesis of lung injury and remodeling, 2)Global tuberculosis control : progress and promises, 3)New perspectives in asthma and COPD, 4)Current topics in respirology, 5)Bench to bedside on lung oncology の5題。これ以外に外国からの招請講演3題、特別講演などや一般演題950題(気管支喘息109題:11.5%)と、盛り沢山で呼吸器疾患を全て網羅し充実した内容だった。

 今回、学会として「禁煙宣言」を発表したが、呼吸器疾患の発症を予防するためのみならず国民全体の健康増進の為に、今後その実効性が期待される。

(下田照文:国立療養所南福岡病院臨床研究部 記)


第26回 日本医学会総会

〜平成15年4月3日〜8日〜

国際会議場、福岡サンパレス、シーホークホテル&リゾート、九大医学部百年講堂

 2003年4月3〜8日に亘って第26回医学会総会が杉岡洋一会頭のもとに福岡市で開催された。4年に1回の総会であり、医学の祭典ともいえる大規模な企画が実行され、3万人を越す登録があったと聞く。招待講演、記念講演、公開講座、特別講演など我が国の錚々たる方達の講演があり、又、会頭講演「21世紀を拓く医学と医療」、特別シンポジウム「日本の医療の将来」がとりあげられ、プログラムの骨子となる「柱」と銘打ったシンポジウムが企画された。

 柱1は「21世紀医学・医療の使命-疾病の解明とその克服-」、柱2は「人間科学と医学」、柱3は「医療の改革を目指して」、柱4は「医学・医療の進歩を世界に向けて」という大テーマで構成され、「アレルギーの解明と克服」は柱1の中で、2つのシンポジウムに分けて行われた。
 日本人口の 1/3 はアレルギー疾患に悩まされていると云われ、大きな社会問題として注目され、疫学的調査結果はアレルギーの克服・予防が日本のみならず世界的課題であることを教えている。21世紀における医学・医療の使命の1つとして「アレルギー克服」が日本医学会総会シンポジウムで取り上げられたことは高く評価される。

 アレルギーが、個人の暴露されている「環境要因」と、アトピーとして理解されている遺伝的「素因」に支配され、換言すれば、アレルゲン暴露、環境汚染、社会的ストレス、食生活の変化など「外的要因」と、それらを受ける個体側の免疫応答性・感受性という「内的要因」という両面から如何に克服するかの戦略がいくつかの面から討議され、提案が示された。学術的貢献に加えて、啓発的ボランティア活動もアレルギー克服への一端を担っていることを認識しなくてはならない。

(石川 哮:熊本大学名誉教授、恣本アレルギー協会九州支部前支部長 記)


学 会 ・ 研 究 会 予 告

 第33回日本免疫学会総会・学術集会

 

会  期:

2003年12月8日(月)〜10日(水)

場  所:

福岡国際会議場、マリンメッセ福岡

大 会 長:

渡邊 武 九州大学生体防御医学研究所・所長

副大会長:

吉村昭彦 九州大学生体防御医学研究所・免疫制御学分野教授

吉開泰信 九州大学生体防御医学研究所・感染制御学分野教授

姫野国祐 九州大学医学研究院・教授

【事務局】

九州大学生体防御医学研究所・感染防御学分野
〒812-8582 福岡市東区馬出3−1−1
Tel:092−642−6835、 Fax:092−632−1499

 第33回ぜんそく児の夏期キャンプ

 

期  日:

平成15年8月4日(月)〜8月7日(木) (3泊4日)

場  所:

福岡市立油山青年の家

対  象:

小学1年生〜6年生の喘息児(定員:70名)

申  込:

平成15年6月1日〜20日(必着)

共  催:

(財)日本アレルギー協会九州支部、国立療養所南福岡病院

【申込先】

国立療養所南福岡病院ぜん息児夏期キャンプ係
〒811-1394 福岡市南区屋形原4−39−1  Tel:092−565−5534

 第22回西日本小児アレルギー看護研究会

 

期  日:

平成15年8月23日(土) 10:00〜16:00

場  所:

国立療養所 南福岡病院 研修・情報センター

共  催:

西日本小児アレルギー看護研究会、藤沢薬品工業株式会社

【事務局】

国立療養所南福岡病院
〒811-1394 福岡市南区屋形原4−39−1  Tel/Fax:092−566−9479

 第76回夏季ぜんそく学級

 

期  日:

平成15年8月4日(月)〜9日(土)

場  所:

上天草総合病院ぜんそくセンター

対  象:

小中学生40名程度

【申込先】

上天草総合病院ぜんそくセンター
〒866-0293 熊本県天草郡龍ケ岳町高戸1419
Tel:0969−62−1762、 Fax:0969−62−1546


 

アレルギー談話室・ラジオ番組予定表

◆ 平成15年、放送予定

回数
放送予定日
テ  ー  マ
講 師 名
所   属
1239
7月6日

アレルギーと海水浴

岡崎 禮治

上天草総合病院

1240
7月13日

喘息児サマーキャンプ

小田嶋 博

国立療養所南福岡病院小児科

1241
7月20日

喘息の診断(成人)

庄司 俊輔

国立療養所南福岡病院
アレルギー科

1242
7月27日

喘息の治療(成人)

井上 博雅

九州大学大学院医学研究院・
医学部呼吸器内科

1243
8月3日

喘息の診断(小児)

岡田 賢司

国立療養所南福岡病院小児科

1244
8月10日

喘息の治療(小児)

柴田瑠美子

国立療養所南福岡病院小児科

1245
8月17日

エアコンとアレルギー

井上 とら夫

東福岡和仁会病院内科

1246
8月24日

栄養とアレルギー

久保 千春

九州大学大学院医学研究院・
医学部心療内科

1247
8月31日

蕁麻疹

吉田彦太郎

長崎市

1248
9月7日

住まいとアレルギー

阿南 貞雄

長崎県開業

1249
9月14日

蓄膿症とアレルギー

鈴木 正志

大分医科大学耳鼻咽喉科

1249
9月21日

秋の花粉症

石川 哮

熊本大学名誉教授


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