K・Kニュース vol.4(2003年6月号)


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第9回 アレルギー週間関連行事

■ 市民向け講習会 −盛況裡に終わるー


 例年のアレルギー週間行事である一般市民向け啓発講演会が2月9日福岡市、2月23日北九州市で開催され、いずれも盛況。今年も九州医事新報にその模様が掲載された。
 恒例のアンケートを聴衆の皆さんにお願いし、出席合計数159名の内、93名(男性:26,女性:67)の回答を頂いた。回答内容は両講習会共、同じ傾向にあったので、総合してまとめる。

 年齢は20-30歳代、40-50歳代、60歳代以上に分けてみるといずれも30%前後で、広い年齢層の参加が得られた。参加者自身が「何らかのアレルギーに悩んでいますか?」という質問には68%が"ある"と答え、その人たちのアレルギー反応が出ている場所は、鼻(47%)、眼(34%)、皮膚(32%)、呼吸器(喘息:16%)という頻度であった。当然1人で2−3ヶ所に出ている人が居るので合計は100%を越える。はっきり季節性のあるのは40%で2−5月が多く、スギ・ヒノキ・イネ科花粉症が予想されたが、通年性/不定期に症状のでる人が60%であり、症状のコントロールを通年的に必要とし、いつもストレスがかかっている人の多いことが反映されていると考えられた。
 「何に対するアレルギーか判っていますか?」という質問では、吸入性アレルゲンが約90%で、スギ・ハウスダスト・ダニ・ペットの順序であった。食物アレルゲンは約10%で卵、牛乳、大豆、そばなどであり、漆、金属、ゴム、農薬などの接触アレルゲン、日光、排気ガスなど、極めて多彩であった。それだけに聴衆の知りたいことは幅が広く、これからの講習会企画に大いに参考になった。
 「自由にご意見を」という欄には、いろいろと寄せられた。自分自身や家族のアレルギー相談が多いのは当然ながら、「アレルギー科専門医やシックハウスの診療ができるところの案内・情報が欲しい」、「これからもこのような研修会・講習会を続けて欲しい」など、アレルギー協会の活動に声援のかかる意見をいくつももらい、来年の実行に向けて励みとなった。
 後援をいただいた団体や企業に対し感謝します。

(石川 哮:熊本大学名誉教授、アレルギー協会九州支部前支部長)


福岡市での講演会

 


北九州での講演会

■ 医師向け講習会 −九州7県開催ー

福岡県:平成15年2月14日サ 18:00〜21:00

 

ホテルセントラーザ博多

テーマ「アレルギー疾患と最近の治療」

小児科、皮膚科、耳鼻咽喉科、呼吸器・アレルギー科の先生による講演

参加者70名

長崎県:平成15年3月6日コ 18:30〜21:00

佐世保シティホテル

内科、皮膚科、耳鼻咽喉科、小児科の先生による講演

参加者103名

大分県:平成15年2月8日シ 18:00〜21:15

大分全日空オアシスタワー

内科、皮膚科、リウマチ膠原病科の先生による講演

参加者19名

鹿児島県:平成15年2月15日シ 17:00〜20:00

城山観光ホテル

小児科、耳鼻咽喉科、皮膚科、専攻健康要因学講座健康増進行動学教授による講演

参加者81名

 

熊本県:平成14年7月19日サ 18:30〜21:00

 

ホテル日航熊本

小児科、皮膚科、呼吸器科、衛生学の先生による講演

参加者98名

平成15年2月21日サ 18:45〜22:00

ホテルニューオータニ熊本

小児科、皮膚科、内科、耳鼻咽喉科の先生による講演

参加者116名

宮崎県:平成15年1月31日サ 19:00〜20:30

ホテルメリージュ

「新しい小児気管支喘息治療・管理ガイドライン2002の改訂ポイント」

国立療養所南福岡病院 西間三馨病院長の講演

参加者25名

沖縄県:平成15年2月13日コ 19:00〜21:00

ラグナガーデンホテル

呼吸器内科の先生による講演と、滋賀大学医学部皮膚科 上原正己教授
「アトピー性皮膚炎の生活指導と治療」の特別講演

参加者75名


第2回 アレルギー・臨床免疫医を目指す人達の為の研修会


 第2回アレルギー・臨床免疫医を目指す人達の為の研修会が平成15年3月8〜9日の2日間にわたって、恣本アレルギー協会九州支部の主催の下、福岡市八重洲博多ビルで開催された。参加者は約40名で、地元の福岡だけでなく、全国各地から若手医師が集まった。

 第1日目は主にアレルギーに関する講演で、アレルギーの基礎から始まり、小児、耳鼻科領域、呼吸器、皮膚科領域、そしてストレスとの関連など広範囲にわたる実際の臨床に役立つ最新の話題提供と討議が熱心に行われた。

 夕方には、Evening Lecture としてまず前支部長の石川 哮先生が、アレルギー治療の将来の夢を若々しく語られ、次に長崎大学の江口勝美教授により、関節リウマチ治療の最新のガイドラインが紹介され、この分野の最近の目覚ましい進歩を感ずることが出来た。6時間にも及んだ講演会の後、西間支部長の乾杯で懇親会が始まり、和気藹々のうちに色々な情報交換が行われ、ビールの泡とともにその日の勉強疲れを吹き飛ばすことが出来た。

 第2日目は自己免疫疾患がテーマとなった。まず基礎的なトピックスとして、疾患感受性遺伝子と題してこの分野では我が国第一人者である熊本大学の西村泰治教授に講演して頂いた。少々難しくはあったが、HLA から免疫抑制遺伝子に至るまで将来の治療に希望を抱かせる興味深い講演であった。その後は現在油の乗り切った4人の若手の演者により、糖尿病、SLE、高サイトカイン血症症候群、及び血管炎などの自己免疫疾患について、臨床免疫学的な見地から講演が行われた。
 自己免疫疾患と一口に言っても、臓器特異的なものから全身性の疾患に至るまで極めて多岐にわたり、各々の専門学会だけでは経験できないような内容の講演を聞くことができた。朝8時30分から始まって昼過ぎの1時に終わった時には、参加者は皆さすがに疲れたという風情であった。

 2日間にわたり、非常に密度の濃い研修会であった。アレルギーと自己免疫とは同じ免疫異常を基盤としていながら、これを一緒に論じ合うような学会も研究会もこの会の他にはないのが実情である。石川先生が最後の閉会の挨拶で述べられたように、その意味でもこの会はユニークで、今後益々発展し参加者も増えることを期待したい。最後に、この会の開催に尽力頂いた西間支部長、石川前支部長、裏方として忙しく努力されたアレルギー協会九州支部の方々、そして協賛して頂いた小野薬品に感謝したい。

(長澤浩平:佐賀医科大学内科教授 記)


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