K・Kニュース vol.5(2004年1月号)


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World Allergy Organization Congress-XVIII ICACI

〜2003年9月7〜12日 カナダ・バンクーバー〜

 Rocky の山々に代表されるカナダ西部の9月は既に寒いと聞いていたが、それ程ではなく、学会会期中、快適な気候であった。
 9月7日のOpening Ceremonyでは、カナダインディアンの踊りを中心にした国の成り立ちの紹介で始まり、会長である米国の Prof. Allen P. Kaplanによる開会宣言とOrganizing Staffの紹介が行われた。 5日間の学会プログラムは盛り沢山で、5つの plenary session, 多額の寄付をした企業がスポンサーとなった4つの platinum symposia, 24の parallel symposia, 88の breakfast seminar, 87の luncheon seminar, 8つの meet the professor, 12の interactive workshop が組まれ、一般演題は口演:120題、ポスター:642題であった。象徴的国際学会でacademy festivalというところであった。

 参加者数は正確ではないが、トロントを中心に話題となったカナダの SARS を恐れてか、9/11をねらったテロ報復を予想してか、今までより少なく全体で5,000人位、日本人は200人位ではなかったかと思われる。

 同じ時間に横並びで開かれる session が多く、トピックスを特定できなかったが、会長の意図にあったのは、生物工学の発達に伴う治療法の進歩であり、特に immunotherapy, immunomodulation, immunodeviation と表現された話題に重点が置かれていた。

 この機会に少々寒いが、Jasper, Banffと足を伸ばしてCanadian Rocky の旅を楽しんだ人も多かったようである。

(石川 哮:熊本大学名誉教授 記)


 

第53回 日本アレルギー学会総会

〜2003年10月20〜25日、
 岐阜県・長良川国際会議場、岐阜ルネッサンスホテル〜

 平成15年10月23〜25日の3日間、第53回日本アレルギー学会総会が岐阜薬科大学教授永井愽弌会長の主宰にて、岐阜市長良川沿いにある長良川国際会議場及び岐阜ルネッサンスホテルにて開催された。
 「アレルギー疾患治療の新展開−基礎と臨床のクロストーク−」を学会のテーマとして、招待講演8、特別講演2、教育講演8、シンポジウム12、イブニングシンポジウム12、教育セミナー15、一般演題478題(全て口演)が全会場にわたり活発に繰り広げられた。また、最終日にはアレルギー学会に大きな足跡を残された、永井会長の教室の先代教授であった江田昭英先生を記念して、市民公開講座「望ましいアレルギー治療−江田メモリアル−」が開催された。

 今回もTak Lee教授、Stephen Holgate教授をはじめとして多数の著明な先生方が海外から参加され、レベルの高い国際的な学会となった。今回の学会の特徴として、やはり何といってもアレルギー疾患の薬物治療についての基礎から臨床まで幅広い観点からの題目が目を引いた。臨床家の多いアレルギー学会の中で、薬理学者として確固たる指導的役割を果たしておられる永井会長らしい、特徴のある学会内容だったというのが印象である。
 小田嶋先生が記されているように日本小児アレルギー学会総会が、同じ10月上旬に同じ会場で行われたとのことであった。岐阜で行われる学会は多くない。こんな偶然もあるのかと驚いた。

 ところで、音に聞いた「柳ケ瀬」であったが(中洲と比べたせいか)随分寂しい感じがした。参加された先生は岐阜の夜の経済発展に貢献されたであろうか。

(庄司俊輔:国立療養所南福岡病院副院長 記)


第40回 日本小児アレルギー学会

〜2003年10月3〜4日、
 岐阜県・長良川国際会議場、岐阜ルネッサンスホテル〜

 第40回日本小児アレルギー学会は2003年10月3〜4日、岐阜市で行われた。会長は岐阜大学医学部小児病態学の近藤直実教授。その3週間後には、同じ岐阜市で日本アレルギー学会総会が行われたこともあり、今年、岐阜市はアレルギー学の盛んな秋を迎えた。

 学会場は岐阜ルネッサンスホテルと隣接した国際会議場でホテルに宿泊した会員にとっては、大変便利な会場であった。

 また、長良川の鵜飼も行われており、鵜匠は宮内庁職員であり、もう1000年以上の歴史があることとか、意外にも相当速い速度で船を漕ぎながら鵜達は、その速さに合わせて(?)泳ぎながら、気忙しく水面に首を突っ込んで、鮎を飲み込むという伝統行事であることだとか、も勉強になった。
 また、会場から金華山が近く、今更ながら、戦国の要塞の地であったことなど、学問以外にも大変に情緒と風情に満ちた場所で、岐阜の地が歴史と伝統の町で、学問に適した場所であることを知らされたのであった。この地で、近藤教授の提唱する、オーダーメイド治療の観点からも、基礎から臨床にかけての幅広い内容が討論された。

 小児アレルギー学会では、2002年に喘息ガイドラインの改訂版が出されたが2005年度にはさらに改訂予定であり、吸入ステロイド薬、ロイコトリエン受容体拮抗薬、貼付β2刺激薬の使用量が増加していることなど実施状況も報告された。また、アレルギー疾患の発症とその経過、また治療に関する多くの有益な報告が行われた。また、アレルギー対策情報の周知に関しても多くの有益な報告が行われた。       

 (小田嶋 博:国立療養所南福岡病院診療部長 記)


学会・研修会・講習会 予告

 第16回日本アレルギー学会春季臨床大会

 

会 長:

中澤次夫(群馬大学医学部保健学科講座)

会 期:

2004年5月12日(水)〜14日(金)

場 所:

群馬県民会館、前橋市商工会議所、群馬県立図書館

 第22回日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー学会

 

会 長:

氷見徹夫(札幌医科大学耳鼻咽喉科学講座)

会 期:

2004年3月25日(木)〜27日(土)

  

会 場:

ホテルロイトン札幌

 第44回日本呼吸器学会学術講演会

 

会 長:

堀江孝至(日本大学医学部内科学講座内科一)

会 期:

2004年3月31日(水)〜4月2日(金)

  

会 場:

東京国際フォーラム

 第3回アレルギー・臨床免疫医を目指す人達の為の研修会

 

主 催:

(財)日本アレルギー協会九州支部

会 期:

2004年3月6日(土)〜7日(日)

  

会 場:

八重洲博多ビル

 第10回一般向けシンポジウム(アレルギー週間)

 

主 催:

(財)日本アレルギー協会九州支部

会 期:

2004年2月8日(日)

  

会 場:

天神ビル(福岡)


九 州 支 部 研 究 助 成

 研究課題
研究者(所属)
実施期間

1)

徐放性テオフィリン薬とロイコトリエン拮抗薬の抗炎効果並びに呼吸音改善効果に対する比較研究

下田 照文
(国立療養所南福岡病院)
14年9月〜
15年8月

2)

咳喘息(cough variant asthma)の病態解明と抗炎症療法

下田 照文
(国立療養所南福岡病院)
14年9月〜
15年12月

3)

自己免疫性甲状腺炎の遺伝要因の解明

山本  健
(九州大学生体防御医学研究所)
15年2月〜
16年2月

4)

免疫高次機能を司る細胞骨格制御機構の解明

福井 宣規
(九州大学生体防御医学研究所)
15年2月〜
16年2月

5)

β2吸入液とDSCG吸入液の併用効果並びに気道炎症改善効果に対する比較研究

下田 照文
(国立療養所南福岡病院)
15年1月〜
15年12月

6)

花粉症を対象としたQOL調査

石川  哮
(熊本大学名誉教授)
15年2月〜
15年3月

7)

高張食塩水吸入誘発喀痰を用いた吸入ステロイドの坑炎症効果の評価

下田 照文
(国立療養所南福岡病院)
16年1月〜
17年12月

8)

成人間欠型喘息(ステップ1)に対するEarly Intervention の気道炎症による評価

下田 照文
(国立療養所南福岡病院)
16年1月〜
17年12月


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