K・Kニュース vol.6(2004年7月号)
〜Page2〜
第10回アレルギー週間関連行事・「一般市民向け講演会」
今年もアレルギー週間にちなむ恒例の行事として、一般市民向けのアレルギー講演会が平成16年2月8日の日曜日に福岡市で開催された。この講演会も今回で10回を数え、天神ビルの利便性もあって今回も多数の来訪者があった。
講演会はテーマ1の「知ってますか?いろいろなアレルギー」とテーマ2の「花粉症よもやま話」の二部構成で行われ、第一部は皮膚科と心療内科の先生のお話の後、食物アレルギーの食餌療法を主に栄養管理士の方にお話いただき、第二部ではちょうど流行をはじめたスギ花粉症を中心とした話を耳鼻咽喉科の先生にしていただいた。
それぞれ会場からは日頃感じている疑問点などが出され、活発な討論が行われた。約160人の参加者のうち90人からアンケートが回収されたが、図でわかるように、参加者ご本人自身がアレルギーを有されている方が3分の2を越えており、またそのアレルギーを呈する臓器が多岐に上ることがわかった。
喘息の方が比較的少なかったのは、講演の内容が事前に広報周知されていた結果と思われる。また、アレルギーの原因物質についての回答では、公演内容からスギアレルギーが多いのは当然であるが、ブタクサがハウスダストより多いのは意外で興味深かった。他にも金属、食品、蜂など多種類であったが、本人の主観なのか検査結果なのか判然とせず、やはり専門医での正しい診断が必要だという印象を受けた。
会場ではアレルギー除去食品や防ダニふとんなどのアレルギーグッズの企業展示会が行われ、講演の前後や休憩時間など賑わっていた。環境や食生活の変化により、各種アレルギー疾患に悩む方は確実に増加している。アレルギー協会九州支部としては、来年以降も講演会を続け、市民の皆さんのお役に立ちたいと考えている。
(国立病院機構福岡病院 副院長 庄司俊輔 記)
医師向け講習会 (九州7県で開催)
福岡県:
平成16年2月14日(土) 15:00〜18:30 九州大学医学部同窓会館
内容:
テーマ:「アレルギー疾患の最新治療」
心療内科、小児科、皮膚科、耳鼻咽喉科の先生による講演
参加者 59名佐賀県:
平成16年2月19日(木) 18:30〜20:30 マリトピア
内容:
内科、皮膚科、耳鼻咽喉科、小児病態学の先生による講演
参加者 59名長崎県:
平成16年3月9日(火) 18:30〜21:20 長崎プリンスホテル
内容:
小児科、耳鼻咽喉科、皮膚科、アレルギー科の先生による講演
参加者 116名大分県:
平成16年1月31日(土) 17:00〜19:00 大分全日空ホテル・オアシスタワー
内容:
皮膚科、環境衛生部、生体防御機能学の先生による講演
参加者 67名鹿児島県:
平成16年2月12日(木) 18:30〜21:30 城山観光ホテル
内容:
耳鼻咽喉科、皮膚科、小児科の先生による講演
参加者 88名沖縄県:
平成16年2月9日(日) 19:00〜21:00 ラグナガーデンホテル
内容:
皮膚科、耳鼻咽喉科、呼吸器科の先生による講演
参加者 65名
第3回アレルギー・臨床免疫医を目指す人達のための研修会
(財)日本アレルギー協会九州支部主催の第3回アレルギー・臨床免疫医を目指す人達のための研修会は今年度も博多駅近くの福岡市八重洲博多ビルで3月6日(土)〜7日(日)の2日にわたって開催された。
受講は約50名で九州全域に加えて関東、関西、中国、四国からも計10名以上の参加者があった。アレルギー疾患・膠原病全般にわたって、内科、小児科、耳鼻科、皮膚科の専門診療科を超えて集中的に学ぶことのできるこの種の研修会のニーズが改めて認識された。第1日目は"アレルギーの基礎と臨床"をメインテーマに研修会がスタートした。まず、中島重徳先生がアレルギーの基礎と臨床―概説―という、メインテーマそのもののタイトルで、アレルギー病学の黎明期より最新の知見まで、基礎から臨床にわたって包括的な講義をされたあと、アレルギー疾患の臨床における診断と治療という観点から、鹿児島大学の黒野教授が上気道アレルギー、主にアレルギー性鼻炎についての最新の知識を明快に講義された。下気道アレルギーについては、小児喘息の病態及び治療に関して西間先生がガイドラインに言及しながら解説された。成人の領域は庄司先生が主な研究分野でもある炎症とリモデリングについての最新の知見も加えて解説された。
One airway, one diseaseという言葉が示すとおり、喘息患者にアレルギー性鼻炎の合併は極めて多いものであるが、耳鼻科、内科、小児科という診療科の枠を超えてアレルギー科を標榜する医師にとっては必須の知識であり、きわめて有用であったと思う。
次に、九州大学の古江教授が蕁麻疹、アトピー性皮膚炎の診断・治療について、九州大学の久保教授はアレルギー疾患とストレスについての講義をされた。
幅の広い多くの情報を吸収して参加者一同いささか疲れたところで、コーヒーブレイク。リフレッシュした後のテーマは、近年、種々の分野でホットな話題となっている抗体療法についての現況と問題点、将来の展望についてであった。
長崎大学の江口教授がリウマチ疾患に関して、日本医科大学の大久保公裕先生が鼻アレルギーに対して、九州大学の下田和哉先生が血液疾患について、現在日進月歩であるこの領域の最新の情報を講義された。
第2日目は膠原病中心のプログラムであった。佐賀大学の長澤教授が自己免疫について概説をされたあと間接リウマチについて松田剛正先生が、シェーグレン症候群について川上純先生が、膠原病に伴う肺疾患について林真一郎先生が、膠原病の皮膚所見について大阪大学片山教授が、それぞれ講義をされた。
最後にランチョンセミナーとして岸川先生が米国留学時の研究をふまえての花粉症のトピックス、および米国事情の紹介をされて2日間約10時間に及ぶ集中セミナーを修了した。昨年にもまして内容の濃密なセミナーであった。今年度もこのユニークな研修会の開催にご尽力頂きました支部長の西間先生、前支部長の石川先生、アレルギー協会九州支部のスタッフの方々、講師の諸先生方、御協賛を頂きました小野薬品の関係各位に感謝申し上げます。
(佐賀大学医学部小児科教授 濱崎雄平 記)