K・Kニュース vol.7(2004年12月号)


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宮城征四郎先生、医学教育「牛場賞」受賞

 日本医学教育学会からの表彰で、宮城先生は全国で10人目の受賞。
30年以上前から臨床教育先進地米国の医学教育を沖縄県立中部病院で実践され、多くの優秀な人材を育てた。現役時代、上級医が後輩の研修医を指導する「屋根瓦方式」の教育システムで内科、外科の有給研修医のほか、無給でも「いい医者になりたい」という研修医を一人も拒まず全てを受け入れて教育した。医師数は千人に上る。

 退官後の現在は全国でも前例のない20病院が連携してつくる「群星沖縄」で活動中である。
将来、研修医が実践を積めるセンターを県内に設立してさらに臨床教育を充実させたいとの抱負を語っておられる。先生の活動を支援・連携した沖縄県・琉球大学・県医師会の努力があってこそとの謙虚な姿勢に頭が下がる
。呼吸器学会でもウフィーチ会(呼吸器カンファ)を長期に開催され、1症例毎熱心に検討会を指導されるなど先生の教育は果てしなく続いている。

先生ありがとうございます。そしておめでとうございます。

(文責:岸川禮子、琉球新報より一部抜粋)


 

アレルギー除去食について

 食物アレルギ−の除去食療法では医師の指示のもと、必要な食品除去を行なう。

当院では多種多様な入院除去食に対応しているが、外来においては、特に多種食物除去の場合、正しい知識をもたないまま、不用意に多くの食品を除去し、栄養障害を来たすケースがある。
食物アレルゲンとして除去する食品の多くは卵や牛乳のように栄養価の高いものが多いだけに栄養に配慮した食事管理が必要であり、適切な除去食の食事指導が重要となってくる。
今年で15年目を向かえる福岡病院食物アレルギ−教室では専門医の講義とともに栄養管理士の指導による除去食メニューの紹介、試食会を行っている。毎日の食事のレパートリーが広がり、子どもが喜ぶおいしい食事作りのための代替食品の上手な利用法や除去食メニュー指導はその大きなポイントとなっている。とりわけ除去食の料理講習は、
  1:『実際に調理してコツなどが聞けるのがよい』
  2:『自分で作ると作り方が頭に入り、わかりやすい』
  3:『食べられないものが多いと感じていたが、工夫次第だということを感じた』
などの意見が多く、知識と実践、両面からのサポートで効果をあげている。

第15期 食物アレルギー児のためのアレルギー教室
年間プログラム(月1回 全9回)

 

講習内容
除去食メニュー
開講式

院長挨拶 スタッフ紹介

 

第1回

食物アレルギー総論

 

第2回

食物アナフィラキシーへの対応

楽しいおやつ

第3回

アレルギーと環境

行楽弁当

第4回

乳幼児のアトピー性皮膚炎と食事

除去食料理講習

第5回

除去食中の栄養評価と代替食

楽しいおやつ

第6回

気管支喘息の治療

X'masパーティの料理

第7回

スキンケアと外用剤の使い方

魚料理

第8回

食物アレルギーの予後と予防

ひなまつり

閉講式
(第9回)

アレルギー最新情報
まとめ Q&A

肉料理

 食事は文化であり、生活の上での楽しみの一つである。また、乳幼児においては情操教育の基盤の一つともなるので除去食といえども、栄養豊で夢のある楽しい食事作りを心がけなければならないと考える。

((独)国立病院機構福岡病院 栄養管理室長 池本美智子)


報告 I

第34回喘息児サマーキャンプ

(独)国立病院機構 福岡病院診療部長 小田嶋 博
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 8月2日から3泊4日のサマーキャンプを福岡県宗像市の「玄海の家」で行いました。福岡県全体から募集した70名の喘息児とボランティア33名、病院スタッフ26名、計129名で、キャンプ前の台風をものともせず、猛暑の中、無事に楽しく終了しました。
内容は、場所にあわせて海物語、ウォークラリー、海水浴、泣く子も黙る肝試し、芸術家も驚くサンドアート、コンサートのようなキャンプファイアー…と楽しいことだけでなく、喘息教室、腹式呼吸、痰だしなどのトレーニングなど盛りだくさんの内容でしたが、今年は発作で点滴するものが34回目にして初めてなかったという素晴らしいキャンプでした。
また、何らかの食物アレルギーは、20人にみられるという状態で、栄養士さん大活躍のキャンプでした。アレルギー食の提供に関しては福岡病院および「玄海の家」の管理栄養士の連携により、何とか乗り切ったという形でした。

 また、最近の気候の変化のためか周辺の松林は3年前に比べ、枯れ木が目立ち、無残な状態でした。さらに、玄海の海には3年前にはサメが出たという怖いお話がありましたが、今年はかわいいクマノミが見られたということで、海物語も環境に配慮した教育的内容でした。

 毎年、サマーキャンプで感じるのは、ボランティアの学生さんたちの努力で、日本の将来はもしかすると明るいのではないかと思うことです。例えば、今年は喘息児として募集しましたが、集団に極端になじめない2人の子供がおり、その子達の面倒をグループの子供に上手に協力させて一緒に努力していたことです。集団生活体験の乏しい最近の子供たちがこれらの経験を通して、心身ともにこの短期間のうちに大きく成長していく姿をみることは本当に喜ばしいことです。
また、毎年サマーキャンプの1ヶ月前に実施している予診を通して、重症な喘息のお子さんを拾い上げることが出来ています。今年は1ヵ月以上、喘息と思い込んでいた患者さんが、実は気胸を併発していたという症例がありました。薬物療法中心の最近の喘息治療の中にあって、また、だからこそ総合的な視点から喘息の治療を見直す貴重な機会であると自負しています。

 最後にこの場をお借りして、御協力いただいた福岡県・福岡市教育委員会、西日本新聞社、NHKなどの報道機関、駐車場を貸していただいた九州産業大学、パナホーム、「玄海の家」の皆様、そしてボランティアの皆様に心からお礼申し上げます。
来年は、山で実施する予定です。どうぞ宜しくお願い申し上げます。


報告 II

第26回太陽の子サマーキャンプ

(独)国立病院機構 東佐賀病院小児科 久田 正樹
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 今年は子供達がたくさん参加してくれるかな?  

 ここ2〜3年は急激に参加者が減少傾向にあり、特に昨年は目標50人のところが半分以下の21人のみであった。治療が良くなったため、少子化のため、不況、PR不足など多くの要因が考えられたが、結局PR活動に力を入れるしかなく、ボランティアの大学生が中心となってTVや各種イベントで大いに宣伝してもらった結果、今回は32名を獲得した次第である。

 喘息児サマーキャンプの変化を昔と比べると、
   ・ 薬はDSCG+β2が激減し、ICSとLTRAが増えていること。
   ・ 自然発作がほとんどみられず夜に起こされることがなくなったこと。
   ・ 友達と上手にコンタクトがとれない子が増えたこと。
   ・ 小学5、6年生に成長児らしさがなくなったこと(みんな幼くなった)
…など、子供同志の付き合いの調整にかなりのエネルギーを費やすようになったこと。

 でも、キャンプ終盤にはみんな仲良しになっており、特に少人数で部屋でお喋りをして過ごすキャビンタイムの笑顔と賑やかさはこちらまで嬉しくなってしまう。

 やはり子供は昔と変わらず、みんなで遊ぶのが好きなんだ。


報告 III

2004アレルギーっ子サマーキャンプ

熊本アレルギーの子を持つ親の会 宮崎 佳穂子
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 熊本アレルギーの子を持つ親の会では7月に例会として7月25日から26日の2日間、「熊本YMCA阿蘇キャンプ」において、サマーキャンプを行いました。
参加者は1歳から小6までの子供11名とその保護者7名で、ボランティアのリーダーの皆さんと湧水プールやクラフト作り、またアーチェリー大会など行い、楽しい2日間を自然の中でを楽しみました。

 食物アレルギーを持つ子供たちにとって、キャンプ場で過ごす2日間の食事は楽しく、また安全であるように料理長とは幾度かの話し合いを重ね、パーべキューを含む和食中心の献立で対応して頂きました。
その際に、バーぺキュー網といくつかの調理器具を子供たちの安全のために、新品で対応して頂けたことは大変感謝しています。混入の危険を避けるため、広いキャンプ場を貸切で使用させて頂きありがたく思いました。
また、日本アレルギー協会九州支部から助成金を頂き懐にも優しいキャンプでした。有難うございました。


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