K・Kニュース vol.7(2004年12月号)
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第54回日本アレルギー学会総会
平成16年11月4日、5日、6日の三日間、第54回日本アレルギー学会総会が、(独)国立病院機構 相模原病院臨床研究センター秋山一男会長の主宰にて、パシフィコ横浜にて開催された。
「アレルギー学の基本に立ち返って「過去の足跡をめぐり、将来を見据えて」を学会のテーマとして、招待講演9、特別講演3、教育講演6、シンポジウム13、イブニングシンポジウム12、教育セミナー17、一般演題532題(全て口演)が全会場にわたり活発に繰り広げられた。また、最終日には市民公開講座「アレルギー疾患における環境整備・自己管理の実際と重要性」が開催された。
今回もDonald Leung教授、Fernando Martine教授をはじめとして多数の著明な先生方が海外から参加されレベルの高い国際的な学会となったが、冨岡玖夫日本アレルギー学会理事長の司会で、本会の名誉会員である石坂公成先生による特別講演は、先生がIgEを発見されたいきさつも含め非常に感銘深いお話であった。秋山一男先生の会長講演もまさに相模原病院の臨床研究部が準ナショナルセンターとして発展するまでの道筋そのものであり、日本のアレルギーの歴史をひもとく内容であった。
今回の学会で感じたことはいろいろあるが、まずは、種々のアレルギー疾患ガイドラインが編纂され、それぞれ日進月歩の改訂が加えられていることも印象深かった。それとともに、日本アレルギー学会が社団法人化して今後大きく様変わりしていく道が実感されるなど、時代の大きな流れを感じる学会となった。
余談だが、横浜市営地下鉄が「みなとみらい線」と称する延伸を行い、最寄り駅から会場への距離が非常に近くなった。パシフィコ横浜は今後も頻繁に使用される学会場と予想されるので、これは思いがけない朗報であった。(庄司俊輔 記)
第41回小児アレルギー学会
第41回小児アレルギー学会は、東京赤坂の都市センターで11月27,28日の両日、都立荏原病院の松井猛彦先生が会長として行われた。参加者は約1400人を数えた。
内容は、長年喘息死を検討してきた松井会長の喘息死をゼロにするための会長講演や、論解と称してテーマを決めてそれに対する、賛成と反対の観点から、エビデンスにもとづいて議論をし、問題点を明らかにしようというものであった。小児科で議論の多い問題、イソプロテレノールの持続吸入療法、テオフィリンの使用、衛生仮説で議論の分かれる、ペットの飼育などについての議論が行われた。
松井会長は日本の喘息死が減少した理由は、ステロイドの使用によるとよく言われているが、むしろ、喘息は死亡することがあるのだという認識が、フェノテロールの問題からマスコミで報道されたことが、患者の注意を喚起し、これが最も大切な点だと述べた。その他、議論を呼びそうな話題が積極的に取り挙げられ、活発な議論が行われた。
小児気管支喘息から世人への各種アレルギー疾患の移行の問題なども興味深く、結論は出ないものの、今後に重要なテーマとして整理し、残されたと言って良いであろう。(小田嶋 博 記)
第23回西日本アレルギー看護研究会
第23回西日本アレルギー看護研究会が平成16年8月28日に西日本アレルギー看護研究会と藤沢薬品(株)の主催で国立病院機構福岡病院研修・情報センターにて開催された。
一般演題6、教育講演3、特別講演2、実践講座1、他に『多種食物アレルギー児の除去食』と題して当院の池本美智子栄養管理室長により講義と実習が行われた。一般演題ではアトピー性皮膚炎についての演題が3題あり、患者やその家族も含めての看護や指導についてなど活発な意見交換がされていた。教育講演でも『アトピー性皮膚炎軟膏療法―新たなる展開―』として当院皮膚科加藤真理子医師により、ステロイド外用薬とは作用機序の異なる21世紀の新しい軟膏についての話であった。
また、千葉大学医学部岡本美孝教授が『耳鼻咽喉科領域のアレルギー疾患』で、口腔アレルギーや喉頭アレルギーなど、日赤国際看護大学坂本洋子教授より『看護に活かすカウンセリング』は興味深く聴講した。
毎年、アレルギー看護の基本的でさらに医学の進歩を取り入れた話題が多く、非常に臨床に役立った。((独)国立病院機構福岡病院 看護部 佐々木由美子 記)
学会・研修会 予告 第17回日本アレルギー学会春季臨床大会
会 長:
高橋 清(独)国立病院機構南岡山医療センター長
会 期:
平成17年6月2日(木)〜4日(土)
会 場:
ホテルグランヴィア岡山 ラヴィール岡山
第45回日本呼吸器学会学術講演会
会 長:
栗山 喬之(千葉大学大学院医学研究院加齢呼吸器病態制御学教授)
会 期:
平成17年4月14日(木)〜16日(土)
会 場:
幕張メッセ ホテルニューオータニ幕張
第23回日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー学会
会 長:
西崎 和則(岡山大学大学院医歯学総合研究科耳鼻咽喉・頭頚部外科学教授)
会 期:
平成17年3月3日(木)〜5日(土)
会 場:
岡山コンベンションセンター(ママカリフォーラム)
第4回アレルギー・臨床免疫医を目指す人達の為の研修会
会 長:
(財)日本アレルギー協会九州支部
会 期:
平成17年3月12日(土)〜13日(日)
会 場:
八重洲博多ビル(福岡市)
第11回一般向けシンポジウム(アレルギー週間)
会 長:
(財)日本アレルギー協会九州支部
会 期:
平成17年2月27日(日)
会 場:
天神ビル(福岡市)
九 州 支 部 研 究 助 成
研究課題 研究者(所属) 実施期間 1) 徐放性テオフィリン薬とロイコトリエン拮抗薬の抗炎効果並びに呼吸音改善効果に対する比較研究
下田 照文
(国立病院機構福岡病院)14年9月〜
15年8月2) 咳喘息(cough variant asthma)の病態解明と抗炎症療法
下田 照文
(国立病院機構福岡病院)14年9月〜
15年3月3) 自己免疫性甲状腺炎の遺伝要因の解明
山本 健
(九州大学生体防御医学研究所)15年2月〜
16年2月4) 免疫高次機能を司る細胞骨格制御機構の解明
福井 宣規
(九州大学生体防御医学研究所)15年2月〜
16年2月5) β2吸入液とDSCG吸入液の併用効果並びに気道炎症効果に対する比較研究
下田 照文
(国立病院機構福岡病院)15年1月〜
15年12月6) 花粉症を対象としたQOL調査
石川 哮
(熊本大学名誉教授)15年2月〜
15年3月7) 高張食塩水吸入誘発喀痰を用いた吸入ステロイドの坑炎症効果の評価
下田 照文
(国立病院機構福岡病院)16年1月〜
17年12月8) 成人間欠型喘息(ステップ1)に対するEarly Intervention の気道炎症による評価
下田 照文
(国立病院機構福岡病院)16年1月〜
17年12月9)
小児喘息に対するEarly Interventionの
有用性の気道炎症による評価下田 照文
(国立病院機構福岡病院)16年4月〜
19年3月10)
咳喘息(cough variant asthma)の病態解明と抗炎症療法(継続)
下田 照文
(国立病院機構福岡病院)16年7月〜
18年12月11)
エピガロカテキン3−ο(3−ο−メチル)ガレート(メチル化カテキン)のスギ花粉症症状軽減効果に関する検討
岸川 禮子
(国立病院機構福岡病院)17年1月〜
17年4月