K・Kニュース vol.8(2005年6月号)


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第11回 一般市民向け講演会

国立病院機構 福岡病院副院長 庄司 俊輔
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 平成16年度の日本アレルギー協会九州支部主催のアレルギー週間一般向け記念講演会は、平成17年2月27日の日曜日に、福岡市天神の天神ビルで開催された。この講演会も今回で11回目を迎え、天神の中心で交通至便なこともあり、約100人近い参加者があった。

 この講演会は例年二部構成となっており、前半では、アレルギー全分野の中から毎年工夫を凝らしたテーマを決めて、それぞれの分野の専門家に講演していただき、後半では、ちょうど時期的に全国的な話題となる花粉症について、耳鼻科を含む各科の専門家にお話をいただいている。
 前半は日本アレルギー協会九州支部長でもある国立病院機構福岡病院長の西間三馨先生に、後半はアレルギー協会九州支部の前支部長である熊本大学名誉教授の石川 哮先生に、司会・進行をお願いし、前半、後半とも、各先生の講演の終了後にたっぷりと質疑・応答の時間をとり、来場の市民の皆様の質問や疑問に丁寧に解答している。

 今年の前半のテーマは、「いろいろな世代のアレルギー」ということで、小児、成人、高齢者と年代を分けて、佐賀大学小児科教授の濱崎雄平先生、国立病院機構福岡病院副院長の庄司俊輔(本稿記載者)、九州大学皮膚科助教授の占部和敬先生の講演が行われた。
 後半のテーマは「花粉症での目と鼻の症状」と題して、福岡のアレルギー耳鼻科の第一人者である宗 信夫先生と、全国でも非常に数少ないアレルギー眼科の専門医のひとりとして特にお呼びした山口大学助教授の熊谷直樹先生に御講演いただいた。

 会場からの質問も非常に活発で時間が足りなくなるほどであり、一般の市民の方々のアレルギーに対する関心の高さを改めて痛感した。来場者からのアンケート結果でも講演会は非常に好評で毎年の開催続行を望む声が多かった。
 アンケートでの統計結果を別図に示した。
 なお、会場の一部では今回もふとんや食品などの抗アレルギーグッズの展示も行われこちらも好評を博していた。

 今年は、スギのみならず、ヒノキの花粉症も猛威を振るい、アレルギーに関する市民の方々の関心は増すばかりであると思われる。その一方で、アレルギー疾患の治療には、まだまだ誤解や偏見が多く、怪しげな民間療法も後を絶たない。
 こういう風潮を鑑みると、本講演会のように、斯界の第一人者がわかりやすい言葉で市民に話しかける機会は非常に重要であり、日本アレルギー協会九州支部としても、毎年しっかり継続していきたいと考えている。


医師向け講習会 (九州7県で開催)

福岡県:

平成17年2月19日(土) 15:00〜18:30 天神ビル11階

内容:

呼吸器アレルギー内科、小児科、皮膚科、耳鼻咽喉科の先生による講演
参加者 92名

佐賀県:

平成17年2月17日(木) 18:45〜20:40 マリトピア 

内容:

内科、皮膚科、小児科の先生による講演
参加者 81名

長崎県:

平成17年3月10日(木) 18:30〜21:00 佐世保シティホテル

内容:

小児科、耳鼻咽喉科、皮膚科、内科の先生による講演
参加者 100名

熊本県:

平成17年7月7日(水)  18:00〜21:00 ホテル日航熊本

内容:

皮膚科、小児科、心療内科、内科の先生による講演
参加者 97名

大分県:

平成17年2月19日(土) 17:00〜20:00 労働福祉会館ソレイユ

内容:

内科、皮膚科、耳鼻咽喉科の先生による講演
参加者 72名

鹿児島県:

平成17年2月17日(木) 18:15〜20:30 城山観光ホテル

内容:

耳鼻咽喉科、内科、小児科の先生による講演
参加者 99名

沖縄県:

平成17年23日(水) 19:00〜21:00 ラグナガーデンホテル

内容:

皮膚科、眼科、内科の先生による講演
参加者 35名

 


第4回アレルギー・臨床免疫医を目指す人達の為の研修会

熊本大学名誉教授
恣本アレルギー協会九州支部 前支部長

石 川  哮

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 日本アレルギー協会九州支部主催で「第4回アレルギー・臨床免疫医を目指す人達の為の研修会」が平成17年3月12日(土)、13日(日)に八重洲博多ビルで開催された。
 今回の参加者は前年を下回ったが、全国各地から熱心な若手医師の参加が得られた。何より第4回を開催できたことは、日本アレルギー協会九州支部のスタッフ、協賛の小野薬品工業株式会社の方々にとっても大きな喜びであった。プログラムは例年と凡そ類似の企画で、第一日目がアレルギー、第二日目が自己免疫疾患を主軸とした、講義形式の研修会であった。

 アレルギー疾患は第一部として、「概論(石川哮)から始まり、上気道(黒野祐一)、下気道(小田嶋博、相澤久道)、皮膚(古江増隆)などのターゲット組織別、年齢別にupdataな情報提供を中心に総括され、又、環境問題の一つとして現代社会の課題であるストレスとアレルギー(久保千春)も加えられた。
 第二部は「21世紀のアレルギー治療はどうあるべきか」と「ターゲット組織の病理学的変化への対応」の2課題についてパネル形式討論が上記演者に西間三馨支部長、庄司俊輔氏を加えて行われ、現在・将来の注目点がいくつか示された。

 自己免疫疾患は「概論(江口勝美)」に始まり、「臨床の実際」として、臨床検査(大田敏行)、ステロイド治療の功罪(長澤浩平)、強皮症(佐藤伸一)、膠原病と腎障害(平方秀樹)、について新しい情報が提供された。

 免疫学は生物学、医学をリードしてゆく研究であると評価されるべき著しい進歩を見せている。それは、多様な抗原物質に対する監視機構第一線にある自己・非自己の認識と生体の恒常性(homeostasis)を保つ正負のコントロール、という生体防御の最も基本的現象が免疫応答にあるからである。この機能の破綻が自己免疫疾患、アレルギー、免疫不全症、更に癌、であるという理解からこの研修会のプログラムは提示されているのである。
 又、恒例の夕食会の中で交わされる聴講者と講師の会話は、研修会の知識吸収と別次元での重要性を持っている。今年も楽しい集いとなったが、担当者として更に有意義な企画を立てて行きたいと考えている。若い医師・研究者の積極的参加を希望する。


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