K・Kニュース vol.8(2005年6月号)
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第45回日本呼吸器学会学術講演会
第45回日本呼吸器学会は平成17年4月14日〜17日まで、千葉の幕張メッセで行われた。会長は栗山喬之千葉大学教授。テーマは呼吸器疾患と環境でこの環境は外部環境のみならず、内部環境として免疫学的異常、薬物代謝、遺伝子レベルでの固体素因などを包括するものであった。招待講演、シンポジウム教育講演などを合わせて250、英語セッション70、一般講演1050合計1,400演題という大きな学会であった。当然、会場は広い範囲であり、移動がやや大変ではあったが、興味深い内容のテーマが多い学会であった。また、プロ・コンセッションなども現在の会員の興味、疑問に思っているテーマを取り上げて興味深い企画となっていた。
一般演題ではポスター発表が重視され、前もって座長にスライドを提出し、座長の一人がそれを見てディスカッサントとしても参加するなど、随所に工夫が見られた。又、会場の多くの場所にパソコンが設置され参加者が自由に使用できるようになっていた。これらも参加者にとっては大変に便利なことであった。
このように素晴らしい学会であったが、私個人としては毎回勉強になっているが、専門医の2階立て制度で内科と外科医しか認められないことから、私の専門医の資格もあと数年でなくなる可能性が高い。小児科医や今one way-one diseaseで注目されている耳鼻咽喉科医の参加が少なくなっていくことが残念である。
(国立病院機構福岡病院 統括診療部長 小田嶋 博 記)
第23回日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー学会
平成17年3月3日(木)、4日(金)、5日(土)の3日間、岡山大学西崎和則教授を会長として、岡山コンベンションセンターで開催された。例年を上回る参加者で、「免疫アレルギー制御−分子機構から治療への展望」をテーマに活発な意見の交換が行われた。プログラムは例年内容的にも発表数を見ても充実してきているが、今回のプログラムは、特別講演1題(アレルギー炎症反応とPGD2の役割:裏出良博)、シンポジウム1題(自然免疫分子機構)、ランチョンセミナー2題(誘導性ヒスタミンと免疫応答調節:西堀正洋、花粉症と咳、副鼻腔炎:藤枝重治)、レヴュートーク2題(リンパ球homingと悪性リンパ腫:吉野正、protozoan infection & immunity:Satoskar AR)、推薦演題:アレルギー、免疫の2群、一般演題:口演37題、ポスター39題であった。又、第一日には教育講演2題(共刺激分子と免疫制御:東みゆき、Fcγレセプター:高井俊行)、スポンサードレクチャー1題(ステロイド点鼻:大久保公裕、岡本美孝)、特別企画としてグラクソ・スミスクライン国際賞受賞者帰国報告(服部 央)が行われた。又、第3日には公開講座(花粉症update)が開かれた。全体を通じて、学問的に極めて高度な内容と臨床直結の話題が豊富であり、企画の成功と評価できる。
(熊本大学名誉教授 石川 哮 記)
AAAAI 2005(米国アレルギー、喘息、免疫学会)
第61回米国アレルギー、喘息、免疫学会(61 Annual Meeting of the American Academy of Allergy, Asthma & Immunology; AAAAI2005)は、2005年3月18日〜22日、米国テキサス州サンアントニオで開催された。サンアントニオは、1836年、アメリカ人がテキサスの独立をかけてメキシコ軍と戦った場所、アラモの砦で有名です。また、サンアントニオ川に沿って開発されたリバーウォークで有名な全米屈指の観光都市でもある。学会は、一般演題1097題で、その中で日本からは41題(3.7%)が発表された。学会のトピックスとしては、花粉症、アレルギー性鼻炎、気管支喘息に対する舌下免疫療法の有用性、小児喘息における吸入ステロイド療法の有用性として、ブデソニドによるSTART試験、フルチカゾンの有効性、そして新規の吸入ステロイド薬であるシクレソニドとモメタゾンの有効性、また低年齢児における吸入ステロイド薬のネブライザー療法の有効性が発表された。さらに、遺伝子多型と薬剤の効果に関する薬理遺伝学に関する発表も多くみられ、今後、無駄のない効率的なテーラーメイド医療が進歩するとの発表もなされた。来年は、2006年3月3日〜7日、フロリダ州マイアミで開催される。
(国立病院機構福岡病院 臨床研究部長 下田照文 記)
第49回日本リウマチ学会総会
第49回日本リウマチ学会が、平成17年4月17日から20日までの4日間、第14回国際リウマチシンポジウムと合同で、聖マリアンナ医科大学教授の西岡久樹会長により、パシフィコ横浜で開催された。プラナリーセッションで11題、シンポジウム54題、国際シンポジウム28題の他、ワークショップ、ポスターディスカッションなど1025題が提出され、終日活発な討論がなされた。従来の日本リウマチ学会にない新たな試みとして、第一日目に「リウマチ性疾患・膠原病治療最前線」と題した、有料のアニュアルコースレクチャーが組まれ、多くの参加者を集めた。
関節リウマチの治療は、インフリキシマブやエタネルセプトなどの登場により、学会は全体に例年以上の活気が感じられた。生物学的製剤について、使用経験による有効性、いつ私用するのが良いのか、予後がどのように改善されるのか、有効性の判定を予測する遺伝因子の解析などの演題が多数見られ、今学会の話題の中心であった。さらに、それらに続く新たなリウマチ治療薬の開発に向けた試みや、抗CCP抗体などによる関節リウマチの診断に関したシンポジウムにも多数聴衆が参加し活発な討論がなされた。リウマチ診療は大きな転換期を迎えており、時代の節目にあることを実感させられた学会であった。
(国立病院機構福岡病院 リウマチ科医長 吉澤 滋 記)
第17回日本アレルギー学会春季臨時大会
国立病院機構南岡山医療センターの高橋 清先生を会長(事務局長 宗田 良先生)として岡山市で6月2〜4日に開催された。会場はきれいなホテルでJR駅と直結しており、各会場には焼き菓子と冷たい水が用意され、とてもおしゃれな雰囲気であった。テーマは「アレルギー疾患の発症と重症化を防ぐ」で基礎と臨床から講演25題、シンポジウム13題、セミナー13題が企画されていた。「発症」に関して遺伝子解析、Innate Immunity、好塩基性細胞と各種炎症細胞との連関、ウイルス感染、気道過敏性など、「重症化」についてはRefractory asthma(難治性喘息)をはじめとした各種の難治性アレルギー疾患の特性、One airway, one disease, IgE とIgG、真菌、Remodeling、心理的要因などの関与の他、治療について各ガイドライン、セルフコントロールなどが取り上げられた(巻頭言より抜粋)。市民向けの講演会も盛況で夕方にはテレビで放映されていた。個人的には日常臨床で主訴の頻度の高い慢性咳嗽や、真菌とアレルギー・喘息における末梢気道炎症の重要性などのテーマが興味深い。またGINA世界喘息day 2005では喘息治療の最新情報を聞くことができた。一般演題は約400題を数えた。聴講できたのは限られたが、とても勉強になった。
(国立病院機構福岡病院 アレルギー科医長 岸川禮子 記)
学会・研修会 予告 第55回日本アレルギー学会秋季学術大会
会 長:
井上洋西(岩手医科大学内科学第3講座教授)
会 期:
平成17年10月20(木)〜22(土)
会 場:
盛岡市民文化ホール・マリオス
ホテルメトロポリタン盛岡本館・ニューウイング第42回日本小児アレルギー学会
会 長:
真弓光文(福井大学医学部病態制御医学講座小児科教授)
会 期:
平成17年11月19日(土)〜20日(日)
会 場:
福井フェニックス・プラザ
第38回日本小児呼吸器疾患学会
会 長:
安部時也(新潟市民病院小児科部長)
会 期:
平成17年11月4日(金)〜5日(土)
会 場:
朱鷺メッセ
第33回日本リウマチ・関節外科学会
会 長:
井上和彦(東京女子医科大学付属第二病院病院長・整形外科教授)
会 期:
平成17年11月11日(金)〜12日(土)
会 場:
品川プリンスホテル エグゼクティブタワー
第35回日本免疫学会総会・学術集会
会 長:
高津聖志(東京大学医科学研究所感染・免疫大部門教授)
会 期:
平成17年12月13日(火)〜15日(木)
会 場:
パシフィコ横浜
ISOEAID'05 (国際職業・環境アレルギー・免疫毒性シンポジウム'05)
会 長:
上田 厚(熊本大学大学院医学薬学研究部 環境保健医学分野教授)
会 期:
平成17年9月17日(土)〜19日(月)
会 場:
ニュースカイホテル
九 州 支 部 研 究 助 成
研究課題 研究者(所属) 実施期間 1) 高張食塩水吸入誘発喀痰を用いた吸入ステロイドの坑炎症効果の評価
下田 照文
(国立病院機構福岡病院)16年1月〜
17年12月2) 成人間欠型喘息(ステップ1)に対するEarly Intervention の気道炎症による評価
下田 照文
(国立病院機構福岡病院)16年1月〜
17年12月3) 小児喘息に対するEarly Interventionの
有用性の気道炎症による評価下田 照文
(国立病院機構福岡病院)16年4月〜
19年3月4) 咳喘息(cough variant asthma)の病態解明と抗炎症療法(継続)
下田 照文
(国立病院機構福岡病院)16年7月〜
18年12月5) エピガロカテキン3−ο(3−ο−メチル)ガレート(メチル化カテキン)のスギ花粉症症状軽減効果に関する検討
岸川 禮子
(国立病院機構福岡病院)17年1月〜
17年4月