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○田舎小学校のむかしあそび
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児童のあそびで、古くから伝わるものがあるはずだが先生たち自身が知らない。ぜひそれを教室の授業で見せて下さいと、女教師が来たので某日、竹鉄砲を拵えてみせ、撃ち方も実演して見せた。生徒たちは歓声を上げた。
小学校のクラス会で、当時腕白だった奴にその話をすると、「オレの町でも頼まれた、それでスギ鉄砲を作ってスギの実こめて撃ってみせたらアンタ、先生がスッ飛んできてナ、スギ花粉症起こさんですか、責任があるんで…て心配してナ」と一杯機嫌で大笑い。
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○私の恩師の先生が亡くなられて
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私の恩師の先生が亡くなられて一年が過ぎようとしている。残された者は現実の生活に四苦八苦しているのが普通であろうが、時に心や夢の中に故人が現れ現実の世界のことについて会話したりする。
生きた証を造ったり形に残したりすることも大切なことであろうが、それ以上にその人を直接知る方の奥底に故人が生き続ければそれで良く、そしてその方々が亡くなれば故人は本当の故人になるのだと私は思っている。
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○スギ・ヒノキ花粉症も・・・
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スギ・ヒノキ花粉症もようやくシーズン終了、予想していたほど訴えの強い患者さんが多くなかったというのが感想です。
予防・治療についての知識が普及し、対応がよくなってきたことが一因と思います。
アレルギー協会・アレルギー学会の活動が少しづつ成果を挙げているのだろうと喜ばしく感じた次第です。また、満開直後に強い風が吹いたため、本当に短い期間でしたが今年はとても美しい桜の花を満喫することができました。朝早く、ヒトも車もほとんど通らない早朝、さくらの花が満開の通りをジョギングする時の快感はなんといってよいか…、花粉症はあるけれど四季折々の花が楽しめる日本に住むことのできる幸せを実感する瞬間です。
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○V型アレルギーはどこで・・・
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SLEは免疫複合体や補体が関与するV型アレルギーの代表的疾患である。事実、活動期には血清免疫複合体が上昇し、逆に補体値は低下する。全身疾患なので、あちこちの血管で血管炎が起こってよさそうである。
ところが、病理学的にはこれがなかなか見られない。重症の中枢神経ループスでも、剖検で神経系に明らかな血管炎を証明することはむしろ稀である。腎の糸球体は病理学的に明らかな病変を呈するが、III型アレルギーは腎以外ではどこで起こっているのだろうか。未だにわからない。
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○ヒポクラテスの誓いと医療経済
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「医師は、生涯をかけて、人類ヘの奉仕のために捧げる」というヒポクラテスの誓いがある。
日本にも、関節リウマチ治療に生物学的製剤が導入され、患者さまへ大きな福音を与えている。一方、この薬の費用は、薬価ベースで患者さま一人当たり年間160万円と高額である。関節リウマチの患者さまは、日本には約80万人がおられ、その中3割の患者さまがこの治療を受けた場合、年間約4,000億円の費用がかかることになる。今、日本の国民医療費は、30兆円を超えたことにより、国民医療費を抑制する動きが強い。しかし、国民総生産額に占める国民医療費の占める比率は、世界的に見ても必ずしも高いとは言えず、もっと増やすべきだという意見もある。生物学的製剤を含め、高度な先進医療を実施することは患者さまへ大きな福音を与えるが、医療費は益々高騰していくことが予想される。
今、医師は、医学的最適性対経済的最適性、効果対費用、この両極の狭間に立って診療を行っている。
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○大学で生化学を教えて頂いた恩師
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大学で生化学を教えて頂いた恩師の西塚泰美(やすとみ)先生が昨年11月急逝された。
直接研究への手ほどきは受けなかったが、その講義は情熱的で、単なる知識の伝授ではなく、どんな実験から、どんな結論が導かれたか?といった生化学の歴史の蛋白質、核酸の分野について、人物の写真とともに語られた。
私はその講義に導かれて、生化学分野の大学院を選んだ。ご冥福をお祈りするとともに、今、先生の講義の域に一歩でも近づきたいと思っている。
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○独立行政法人化された国立大学
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交通手段として、その安全性と正確さを我国が世界に誇ってきたJRとJALに事故が続いている。かって国家の保障を受けていた時代の旧態依然とした体質と営利主義的思想のギャップがストレスとなって事故の原因になってはいないかと懸念する。
独立行政法人化された国立大学においても、市場経済的な考え方が要求されるようになってきたが、これが正しい方向にあることを信じ、そうあるように大いなる努力が必要と思うこの頃である。
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○日本アレルギー学会の社団法人化
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日本アレルギー学会の社団法人化はかなりの確実性で実現することが期待されます。岡山の春季大会では新しく代議員制に基づく総会が開催され、このコメントがKK
Newsに出る時には既に進展があるでしょう。
冨岡理事長始め前理事各位の努力に拍手を送りたい気持ちです。しかし、これからは学会参加、学会誌の発展、学術/臨床の向上、協会と車の2輪となる協力体制による一般啓発など、学会員個々が積極的に参画するという意識改革が従来以上に要求されるようになるものと覚悟しています。
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○アレルギー克服将来ヴィジョン
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スギ花粉の大量飛散で苦しめられたのは患者さん達でした。社会が騒げば国は結構対応してくれることが判りました。昨年から今年初めにかけて「花粉症/アレルギー対策の強化」を多くの議員や厚労省がうたっていました。まさか選挙がらみの一時的な人気取りではないでしょうが、その打ち出した内容をよく憶えていて、来年になったら消えてしまわないよう注目していましょう。
環境対策というグローバルな課題と一緒に考えてゆくアレルギー克服将来ヴィジョンをこの機会に定着させることはアレルギー専門医/研究者の責任でもあります。
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○仕事と気道アレルギーの新たなる課題
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職業性気道アレルギーの発症防止をめぐってはし、職場環境の改善、抗原吸入の回避、防止、気道衛生、浄化対策などがとられ、一定の効果があがっている。しかし、一方では、国民病とも言われるように、就労者での気道アレルギー有病率が著るしく増加し問題となっている。
したがって、産業保健分野では、従来の職業性気道アレルギー対策に加えてアレルギー有病者の就労、生産性での影響や社会医療面からの検討などが必要となろう。
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○アレルギー科標榜の奇怪
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「アレルギーが原因です」と、最近のお医者さんはよく云うそうだ。
抗原の検索や生活習慣の調査もなしに、食餌性や吸入性の区別もなしに、ひとことで片付けられると患者は困る。私の関係していた託児所では園児の8割が、かかりつけ医からアトピー性皮膚炎と診断されて困っていた。
本来の小児科、耳鼻咽喉科、眼科、皮膚科などと併せてアレルギー科も標榜する医療機関が増えて、内容の伴わない診断名を告げられて困惑する患者も増えている。
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○ナラティブアプローチ(物語/比喩)
を大切に
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喘息患者さんにステロイド吸入を導入する際に、今でもやはりステロイドへの拒否感を強く持っている方に出会うことがある。そんな時こそ、とくに担当医のナラティブ(対話/比喩)の力が試される場面でもある。その際、患者さんの性格、知的レベルに合わせて説明するが、とくに比喩の応用が有用と思う。
気道の炎症を「火事」にたとえ、発作は「炎の燃えあがり」、慢性期は「くすぶり状態」つまり(火事は消えていない)と説明し、発作はなくても火事を消すためには、ステロイドの吸入がやはり必要だということを真に理解させるナラティブアプローチが、とても大切で有用と思う。(詳細は1ページを参照)
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