K・Kニュース vol.9(2006年1月号)


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第55回 日本アレルギー秋季学術総会

 平成17年10月20日〜22日の3日間、第55回日本アレルギー秋季学術総会が、岩手医科大学医学部第3内科教授井上洋西会長の主宰にて、岩手県盛岡市の盛岡市民文化ホール「マリオス」およびホテルメトロポリタン本館&ニューウィングにて開催された。

 「21世紀のアレルギーの発展と展望」を学会のテーマとして、会長講演1、特別講演2、招請講演3、招待講演11、教育講演11、シンポジウム20、イブニングシンポジウム12、教育セミナー(ランチョン)18、一般演題530題(全て口演)が全会場にわたり活発に繰り広げられた。また、最終日には市民公開講座「アレルギー疾患の治療を考える」が開催された。
今回もPJ Barnes教授、JM Drazen教授、WW Busse教授をはじめ11名の先生方が海外から参加されレベルの高い国際的な学会となった。井上洋西先生の会長講演は「21世紀のアレルギー学の発展と展望」と題して免疫・アレルギーの発展とご自分の研究の進展を織りなした感銘深いものであった。シンポジウムもイブニングを含め総計32個と多数で、外国の先生も演者あるいは司会者として参加され、非常に内容が高度なものになった。

 私事ながら留学時のボスであった米国ネブラスカ州立医科大学のSI Rennard教授が学会に招待されたと耳にして、受け持ちのイブニングシンポの演者をお願いし、結局座長までして頂いた(その夜はRennardラボ卒業生同窓会で大いに盛り上がった)。

 総会終了後に事務局にお聞きしたところ、総計3,000人を越える参加者があったとのこと。交通の便を考えれば驚異的な人数であり、今後のアレルギー学会の進歩を予感させる大成功の学会であったと言える。

(独)国立病院機構福岡病院 副院長 庄司 俊輔


第42回 日本小児アレルギー学会

 11月19日シ、20日カの2日間にわたって、第42回小児アレルギー学会が福井市で開催された。会長は福井大学医学部小児科教授、眞弓光文先生。

 今回の学会では、臨床的観点から、また基礎的観点から多くの演題が提出され、約1,300人の参加があり、充実した会となった。今回は、日本小児気管支喘息ガイドライン2005がこの開催に合わせて発表されるということで開催前から注目されていた。
しかし、この週の火曜日に関西の読売テレビでテオフィリンが「毒にかわる時」という放送があり、大きな話題となった。さらに、学会前日の11月19日の関西地区の読売新聞の一面トップの記事と社会面に「ぜんそく薬「テオフィリン」、脳症で死亡例」というセンセーショナルな形で掲載され、そのために今回の小児アレルギー学会でテオフィリン使用方法が大きく変えられてガイドラインが発表されると書かれた。
実際の学会場では、センセーショナルなテーマとはしておらず、比較的冷静にこの問題が取り上げられたことは、我々、医療に携わる者としてはほっとした所である。これからもこのようなマスコミによるセンセーショナルな取り上げ方には、注意しなければならないし、医療者は、冷静で客観的な目を養わなければならないと思った。

 今回の学会では、どのように学問と臨床と、そして一般への伝達の問題を考えさせられ、まさに医学の実践に思いを寄せた会であった。

(独)国立病院機構福岡病院 統括診療部長 小田嶋  博


日本花粉学会 第46回大会

 9月24・25日、千葉経済大学(大会長 内山隆)で開催された。総数280名の小規模だが、花粉分析(花粉考古学)、形態・分類、細胞・生理、遺伝・育種、花粉症・空中花粉、養蜂・食品及びその他の分野からなる花粉に関する共通学会とも言える。

 今年の第7回学会賞は佐橋紀男教授(東邦大学)空中花粉と花粉症、第7回奨励賞は程 雷先生(南京医科大学)花粉症・アレルギーの要因が選ばれた。
記念講演で佐橋氏は高校生から50年以上にわたる花粉への情熱のなか、大規模な空中花粉研究から30年以上の長期間にわたる観察結果を報告された。空中花粉に対する知識がゼロの状態から花粉情報を国民の多くが知るようになるまで氏の花粉教育に関する業績は多大である。

 程氏は流暢な日本語で中国に日本スギと同じ花粉症が存在し、その発症・増悪原因についての研究結果を報告された。スギ花粉症と遺伝に関しても海外で発表され、我が国の事情を国際的な観点から見ることのできる若い研究者である。2012年の国際学会誘致予定もあることから入会を勧誘しています。

(独)国立病院機構福岡病院 アレルギー科医長 岸 川 禮 子


第24回 西日本アレルギー看護研究会

 本研究会はさる8月27日(土曜日)に国立病院機構福岡病院の研修・情報センターで開催された。

 特別講演は日赤国際看護大学成人看護学の山勢善江教授による「危機的状況にある患者・家族の看護」、福井大学医学部小児科の眞弓光文教授による「小児アレルギーの早期治療介入」、福岡大学医学部眼科の内尾英一教授による「眼とアレルギー」の3題、教育講演は福岡病院皮膚科の加藤真理子科長による「アトピー性皮膚炎のスキンケア」、同・統括診療部の小田嶋博部長による「気管支喘息の吸入療法」の2題で、他に講義と実習「食物アレルギー除去食の実際」、実践講座「続続続・心理社会的背景の複雑なケース?虐待から学ぶ?」、一般演題、施設見学などであった。

 次回の第25回は2006年8月19日シに開催予定です。多くの看護分野からの演題を宜しくお願いします。

(独)国立病院機構福岡病院 病院長 西 間 三 馨


学 会 予 告

 第24回日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー学会

 

会 長:

間島 雄一 三重大学医学部耳鼻咽喉科学教授

会 期:

2006年3月2日(木)〜4日(土)

  

会 場:

鳥羽国際ホテル

 第50回日本リウマチ学会総会・学術集会・第15回国際リウマチシンポジウム

 

会 長:

江口 勝美 長崎大学大学院医歯薬学総合研究科病態解析・制御学講座(第一内科)教授

会 期:

2006年4月23日(日)〜26日(水)

  

会 場:

長崎ブリックホール、長崎新聞文化ホール、
NCC&スタジオ、ウェルシティ長崎、
長崎県医師会館、長崎プリンスホテル

 第18回日本アレルギー学会春季臨床大会〜21世紀のアレルギー診療を模索する〜

 

会 長:

中川 武正 聖マリアンナ医科大学東横病院呼吸器感染症内科学教授

会 期:

2006年5月30日(火)〜6月1日(木)

  

会 場:

京王プラザホテル

 第46回日本呼吸器学会学術講演会〜呼吸器疾患の科学とケアを考える〜

 

会 長:

工藤 翔二 日本医科大学内科学第4講座教授

会 期:

2006年6月1日(木)〜3日(土)

  

会 場:

東京国際フォーラム

 第23回日本小児難治喘息・アレルギー疾患学会
 〜アレルギー児、社会で支えるその未来〜

 

会 長:

足立 雄一 富山医科薬科大学医学部付属病院講師

会 期:

2006年6月10日(土)、11日(日)

  

会 場:

富山国際会議場


研究会・研修会・講演会

 第12回アレルギー週間記念講演会

 

主 催:

日本アレルギー協会九州支部

会 期:

2006年2月19日(日) 13時より

  

会 場:

会場:天神ビル(福岡市)11階

 第5回アレルギー・臨床免疫医を目指す人達の為の研修会

 

主 催:

日本アレルギー協会九州支部

会 期:

2006年3月18日(土)〜19日(日)

  

会 場:

八重洲博多ビル(福岡市)

 第11回日本ラテックスアレルギー研究会

 

会 長:

柴田 瑠美子 国立病院機構福岡病院小児科

会 期:

2006年7月23日(日) 13時より

  

会 場:

九州大学医学部百年講堂


九 州 支 部 研 究 助 成

 研究課題
研究者(所属)
実施期間

1)

高張食塩水吸入誘発喀痰を用いた吸入ステロイドの坑炎症効果の評価

下田 照文
(国立病院機構福岡病院)
16年1月〜
17年12月

2)

成人間欠型喘息(ステップ1)に対するEarly Intervention の気道炎症による評価

下田 照文
(国立病院機構福岡病院)
16年1月〜
17年12月

3)

小児喘息に対するEarly Interventionの
有用性の気道炎症による評価

下田 照文
(国立病院機構福岡病院)
16年4月〜
19年3月

4)

咳喘息(cough variant asthma)の病態解明と抗炎症療法(継続)

下田 照文
(国立病院機構福岡病院)
16年7月〜
18年12月

5)

エピガロカテキン3−ο(3−ο−メチル)ガレート(メチル化カテキン)のスギ花粉症症状軽減効果に関する検討

岸川 禮子
(国立病院機構福岡病院)
17年1月〜
17年4月


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